日本人の食事摂取基準

日本人の食事摂取基準(以下「食事摂取基準」という)は、健康増進法第16条の2に基づき作成され、様々な栄養政策の方針を定める重要な基盤となっている。 食事摂取基準は、健康な個人及び集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の習慣的な一日あたりの基準を示すものである。使用対象には、生活習慣病等に関する危険因子を有していたり、高齢者においてはフレイル(虚弱)に関する危険因子を有していたりしても、おおむね自立した日常生活を営んでいる者及びこのような者を中心として構成されている集団を含むものとしている。 基準の特徴は、エネルギーや栄養素の量は幅(範囲)をもって設定され、欠乏症も過剰摂取も防ぐことができるようになっていることである。また各々の指標は、エネルギーについては「推定エネルギー必要量」、栄養素については「推定平均必要量(estimated average requirement:EAR)」、「推奨量(recommended dietary allowance:RDA)」、科学的根拠が得られない場合の「目安量(adequate intake:AI)」、生活習慣病予防のため当面の目標とすべき摂取量やその範囲を示す「目標量(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases:DG)」、とり過ぎることで健康を損なうことのない最大量を示す「耐容上限量(tolerable upper intake level:UL)」となっている。
掲載されている栄養素は、健康増進法に基づき、厚生労働大臣が定めるものとされているエネルギー(熱量)及び栄養素(詳細は健康増進法施行規則第11条に規定)となっており、それらの値は科学的根拠に基づく策定を行うことを基本としている。また、新たな科学的根拠の集積等を踏まえ5年毎に改定している。
2020年版の食事摂取基準では、更なる高齢化の進展や糖尿病等の有病者数の増加を踏まえ、世界に先立って高齢者の低栄養・フレイル予防や生活習慣病の重症化予防も視野に入れ、これらについて科学的根拠が十分な栄養素の摂取基準が策定されている。

<出典/参考資料>

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