増分費用効果比

保健医療や公共事業などの効率性を考える際には、費用対効果を考慮することが重要であるが、より高い効果を得るためには、その分だけ費用も高くなることもある。 その際、追加でかかる費用が追加で得られる効果に見合っているかどうかを評価する方法が、増分費用効果比(Incremental cost-effectiveness ratio, ICER)である。 例えば既存の薬剤に対して新薬を導入することによる追加的な費用と効果をそれぞれ分子と分母にとり、ICERの値が低いほど費用対効果が優れていると評価する。
効果にQALYsを使用することが多く、費用対効果が良いとされる閾値の目安が存在する。 例えば、海外ではイギリスのNICE (National Institute for Health and Clinical Excellence)など多くの国々がICERの閾値を設定している。日本では、中央社会保険医療協議会が医薬品・医療機器の費用対効果評価のためのICERの基準値を設定している。

<出典/参考資料>

  • ・福田敬.医療経済評価手法の概要.保健医療科学 2013; 62 ;584-589.
  • ・津川友介.世界一わかりやすい「医療政策」の教科書.東京:医学書院. 2020.
  • ・日本製薬工業協会 データサイエンス部会2014年タスクフォース 3.医薬品の価値の科学的な評価-データサイエンス担当者のための費用対効果評価の現状と手法の解説 Ver2 .0.2016 年.
    https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/lofurc0000007rux-att/2014ds_tf3.pdf(2022.1.19アクセス可能)
  • ・下妻晃二郎.医療の効率性と公平性(総論).日本内科学会雑誌 2014; 103; 1203-1209.
  • ・厚生労働省.費用対効果評価制度について 第53回中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会.2021年4月21日.
    https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000770723.pdf(2021.9.29アクセス可能)
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