社会保障費 Cost of social security

社会保障は、憲法第25条第1項「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」及び 第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の規定に基づく制度。 社会保険(年金・医療保険など)、公的扶助(生活保護)、公衆衛生、社会福祉(社会的弱者に対して援護育成を行うこと)の4部門で構成される。 社会保障費は社会保障制度を守るための国の一般会計歳出の一種で、年金、医療、介護、子ども・子育てなどの分野にあたり、 全体の約1/3を占める最大の支出項目である。

社会保障制度の歴史

社会保障制度は第2次世界大戦後の復興期に始まり、引揚者や失業者など生活困窮者に対する生活援護施策、劣悪な食糧事情や衛生環境に対応した栄養改善とコレラ等の伝染病予防が中心であった。 その後、社会保障制度は、時代と共に様々な制度が創設され、それぞれの制度の給付内容等を充実させながら発展し、生涯にわたる生活を支援する制度として、国民生活に不可欠のものとなっている。 【図表1】
日本の人口は2008年をピークに減少傾向にあり、高齢化率の延びは鈍化してきているものの64才までの人口減少加速や、85歳以上の人口の増加による死者数の増加により、今後も更に人口減少が予想されている。【図2】
このように、高齢化による社会保障給付費の増加と少子化による現役世代の減少が避けられない中で、制度の持続可能性の確保が課題となっている。

【図表1】社会保障制度の変遷

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厚生労働省 社会保障改革 社会保障制度の変遷 (https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000166513.pdf)を加工して作成

【図2】人口の長期推移

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令和2年版 厚生労働白書 人口の長期推移     https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-01.html(2021.7.5利用)

社会保障給付費の増加

社会保障給付費の総額は、1990年と2015年を比較すると倍以上に増えており、今後も高齢化の進行に伴って、さらなる増加が見込まれている。特に、2000年(平成12年)に介護保険制度が施行された影響で 2000年以降の「福祉その他」の額が増えている。【図3】
社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度は年金が49.5%、医療が39.4%を占めていたが、医療は1990 年代半ばから、年金は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、 介護、福祉その他の割合が増加してきている。2017年度には、介護と福祉その他を合わせて21.6%と、1989年度の約2倍となっている。【図4】

【図3】社会保障給付費の推移

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平成29年版 厚生労働白書 社会保障費の推移 (https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-01-01-06.html(2021.7.5利用)

【図4】社会保障給付費の部門別構成割合の推移

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令和2年版 厚生労働白書 社会保障給付費の部門別構成割合の推移 (https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-09-04.html(2021.7.5利用)

<出典/参考資料>