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生物統計学観点から栄養・健康に着目した研究(腎機能低下予防・維持に関連して)

【はじめに】
 食物栄養摂取の適正化は健康の維持増進と密接に関連し、メタボリックシンドローム、糖尿病心血管系の疾患の予防に加え、近年、透析患者数の増加からCKD(慢性腎疾患)予防が重要視されています。
男性では50人に1人が生涯透析リスクを有し、食生活面の検討には切実さがあります。

生物統計学プロジェクトでは、地域住民健診成績や臨床成績の縦断的蓄積をもとに栄養疫学的な面から腎機能低下予防危険要因の評価解析を行っています。

【対象と方法】
 低たんぱく食実践一臨床縦断成績及び一地域住民の30年ほどの健診成績をデータベース化し今回用いました。

【結果】
 地域健康一般住民男性の5%近くでは、年齢50歳から80歳にかけて、糸球体濾過量推計値(eGFR:ml/分/1.73m2)が60から45を下回って観察されます(図1)。



数年のうちに大きな減少を経験する例もありますが、年あたりの平均的低下としては、0.5ほどをこの図は感じさせます。一方、臨床データでは、eGFR年低下が大きい症例が多いですが、低たんぱく食導入によってeGFR年低下が抑制されていることが確認されています(図2)。



【解釈と今後の方向性】
 図1のように健康指標に年齢標準曲線を与え、縦断的推移の評価に資することが近年行われています。対象者が自分の立ち位置を確認し、年齢相応以上の動きを早期に認識し、健康の維持に役立つからです。増加傾向にある糖尿病性腎症の予防では、より早期からの対策が必要とされています。

蛋白質摂取量が注目されていて、食生活面でのEvidence確認は重要です。一般健康者では、国民栄養調査等から、WHO1 日推奨量(0.6 ?0.8g/1kg)よりは、多い傾向があり、その負荷が定量的に評価されることが今後の課題となっています。

【国際産学連携センター/生物統計プロジェクト 水野 正一】

関連研究論文
1) 水野正一:出浦照國の症例(1976-1997)の再解析.医と食:
1(5): 242-245. 2009
2) Taku K. Melby MK. Takebayashi J. Mizuno S. et al. Eff ect of soy isoflavone extract supplements on bone mineral
density in menopausal women: meta-analysis of randomized
controlled trials. Asia Pac J Clin Nutr 2010; 19( 1): 33-
42
3) 秋葉澄伯、水野正一:低線量放射線被ばくによるがんリスクの課題―その評価と分析.JAMMRA: 20; 14-19, 2009,

(当研究所機関誌「健康・栄養ニュース第33号」(平成22年9月15日発行)より転載)
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作成:2011/1/11 16:04:24 自動登録   更新:2011/1/11 16:36:00 自動登録   閲覧数:5412
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