Welcome GUEST
重要なお知らせ
現在リニューアル中のため、これは閲覧のみの旧バージョンです。質問や検索はできませんのでご注意下さい。
トップ  >  研究紹介  >  体重増加と睡眠時代謝量との関連についての研究
体重増加と睡眠時代謝量との関連についての研究

【はじめに】
 肥満は、エネルギー摂取量が消費量を上回ることによって生じます。肥満の原因として、エネルギー摂取量の増加の他、エネルギー消費の側としては、?基礎代謝量の低下、?食事誘発性体熱産生の低下、?身体活動量の低下、?脂質利用率の低下が、候補としてあげられています1)。

しかし、例えば、エネルギー消費量の構成要素が減少しても、それにあわせて自然と食事の量が減れば、体重は変わりません。そのため、人を対象とした科学的な検証が必要です。

 そこで、?に関して、睡眠時代謝量とその後の体重変動との関連について検討しました。

【対象及び方法】
 本研究では、基礎代謝量の代わりに、それと条件が似ていて値も近くなる睡眠時代謝量を用いました。ヒューマンカロリメーター(写真)を用いると、睡眠時代謝量を、マスク等を装着しない自然な状態で正確に測ることができ、当研究所の場合、誤差はわずか1%程度です。そこで、睡眠時間のうち、特に代謝の低くなっている時間帯における睡眠時代謝量を算出しました。
基礎代謝量より睡眠時代謝量の方が、バラツキが小さくなります2)。

このような測定を行った方に、測定後2年以上経ったところで再度来ていただき、測定当時からの体重変化をみることによって、「睡眠時代謝量(≒基礎代謝量)の低い人は太りやすい」という仮説を検証しました。

【研究結果】
 年齢・性別・体格で補正した睡眠時代謝量の測定値と、その後の体重変動との間には、統計的に有意な相関は得られませんでした。この結果は、「睡眠時代謝量(≒基礎代謝量)が低くなると太
りやすい」という仮説を支持するものではありません。ただし、ヒューマンカロリメーターでも検出できない小さな個人差が体重変動と関連する、あるいは、測定後の数年間に被験者に起こった様々な環境の変化によって結果がはっきり出なかった、という可能性は残されています。

【今後の方向性】
 当プロジェクトでは、二重標識水(DLW)法と基礎代謝量の実測値から得られた身体活動レベルのデータも蓄積されてきました。そちらについても、今後同様に検討を行う予定です。尚、本研究は、花王健康科学研究会研究助成により実施しました。【健康増進プログラム/エネルギー代謝プロジェクト 田中 茂穂】





関連研究論文
1) 田中茂穂.身体活動レベル(PAL)とエネルギー必要量、
臨床スポーツ医学、24 (8): 847-853, 2007.
2) Ganpule AA, et al. Interindividual variability in sleeping
metabolic rate in Japanese subjects. Eur J Clin Nutr, 61
(11): 1256-1261, 2007.
3) 田中茂穂.人の基礎代謝量.実験医学 増刊 肥満・糖尿
病の病態を解明するエネルギー代謝の最前線、27(7(増刊)):
1058-1062, 2009.

(当研究所機関誌「健康・栄養ニュース第33号」(平成22年9月15日発行)より転載)
プリンタ用画面
友達に伝える
投票数:8 平均点:6.25
作成:2011/1/4 15:01:48 自動登録   更新:2011/1/11 15:04:51 自動登録   閲覧数:7209
前
骨格筋のインスリン感受性調節における血管内皮細胞のインスリンシグナルの役割の解明
カテゴリートップ
研究紹介
次
検査機関の信頼性確保に関する研究

メインメニュー