検査機関の信頼性確保に関する研究
【はじめに】
特別用途食品は、乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示するものです。「特別の用途に適する旨の表示」の許可には特定保健用食品も含まれます。
特別用途食品として食品を販売するには、その表示について国の許可を受ける必要があり、製品見本中の栄養成分等の試験検査は、当研究所または登録試験機関が行っています。
しかし、各試験機関間における食品の分析精度についてはこれまで検討されたことがありません。
制度の安定運用及び消費者に対してより正確な表示値を提供するためには、各試験機関で一定の分析結果が担保されている必要があります。そこで、当プロジェクトでは厚生労働省の「食品の安心・安全確保推研究進研究事業」において、試験結果の信頼性確保に関する検討を行っています。
【対象及び方法】
各試験機関の分析精度を明らかにするため、同一の試験食品を準備し、同一の方法で測定するための実施手順書を作成しました。
試験の対象として、試験頻度の高い乳児用調製粉乳や特定保健用食品の関与成分を選びました。実施手順書は各登録試験機関と調整の上、実行可能な作業書とし、分析法の妥当性及び分析精度について検討しました。
【研究結果】
乳児用調製粉乳に含まれる栄養成分に関する研究では、予備検討時に結果が安定しなかったビタミンB12やビタミンDに関して検討を行いました。
これらの栄養成分に関しては、含有量の少なさに起因する操作方法の記載不備が影響しており、詳細を明記することによって各試験機関からの分析値は安定し、良好な結果が得られることが明らかになりました。
一方、特定保健用食品の関与成分として許可されている大豆イソフラボンは、大豆製品に限らず様々な健康食品にも含まれています。試験の結果、わずかですが食品形態が分析結果に影響することが明らかになりました。
【今後の方向性】
これまでに検討した食品成分では比較的良好な結果が得られていますが、食品に表示される成分は、この他にも数多く存在しています。また、分析法自体の正確性や食品形態による影響も無視できるものではありません。今後も当プロジェクトでは、消費者の皆様により良い成分表示値を提供できるよう、分析方法や精度管理に関する検討を行っていきます。
【食品保健機能プログラム/食品分析プロジェクト 松本 輝樹】
関連研究論文
1) 谷中かおる、東泉裕子、松本輝樹、竹林 純、卓 興鋼、
山田和彦、石見佳子.「健康食品」中の大豆イソフラボンの定量と表示に関する調査研究、栄養学雑誌、68 (3): 234-41,2010.
2) 石見佳子、永田純一、梅垣敬三、松本輝樹、竹林 純 他.
検査機関の信頼性確保に関する研究、平成21年厚生科学研究費補助金(食品の安心・安全確保推進研究事業)、総括・分担研究報告書、2010.
(当研究所機関誌「健康・栄養ニュース第33号」(平成22年9月15日発行)より転載)
【はじめに】
特別用途食品は、乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示するものです。「特別の用途に適する旨の表示」の許可には特定保健用食品も含まれます。
特別用途食品として食品を販売するには、その表示について国の許可を受ける必要があり、製品見本中の栄養成分等の試験検査は、当研究所または登録試験機関が行っています。
しかし、各試験機関間における食品の分析精度についてはこれまで検討されたことがありません。
制度の安定運用及び消費者に対してより正確な表示値を提供するためには、各試験機関で一定の分析結果が担保されている必要があります。そこで、当プロジェクトでは厚生労働省の「食品の安心・安全確保推研究進研究事業」において、試験結果の信頼性確保に関する検討を行っています。
【対象及び方法】
各試験機関の分析精度を明らかにするため、同一の試験食品を準備し、同一の方法で測定するための実施手順書を作成しました。
試験の対象として、試験頻度の高い乳児用調製粉乳や特定保健用食品の関与成分を選びました。実施手順書は各登録試験機関と調整の上、実行可能な作業書とし、分析法の妥当性及び分析精度について検討しました。
【研究結果】
乳児用調製粉乳に含まれる栄養成分に関する研究では、予備検討時に結果が安定しなかったビタミンB12やビタミンDに関して検討を行いました。
これらの栄養成分に関しては、含有量の少なさに起因する操作方法の記載不備が影響しており、詳細を明記することによって各試験機関からの分析値は安定し、良好な結果が得られることが明らかになりました。
一方、特定保健用食品の関与成分として許可されている大豆イソフラボンは、大豆製品に限らず様々な健康食品にも含まれています。試験の結果、わずかですが食品形態が分析結果に影響することが明らかになりました。
【今後の方向性】
これまでに検討した食品成分では比較的良好な結果が得られていますが、食品に表示される成分は、この他にも数多く存在しています。また、分析法自体の正確性や食品形態による影響も無視できるものではありません。今後も当プロジェクトでは、消費者の皆様により良い成分表示値を提供できるよう、分析方法や精度管理に関する検討を行っていきます。
【食品保健機能プログラム/食品分析プロジェクト 松本 輝樹】
関連研究論文
1) 谷中かおる、東泉裕子、松本輝樹、竹林 純、卓 興鋼、
山田和彦、石見佳子.「健康食品」中の大豆イソフラボンの定量と表示に関する調査研究、栄養学雑誌、68 (3): 234-41,2010.
2) 石見佳子、永田純一、梅垣敬三、松本輝樹、竹林 純 他.
検査機関の信頼性確保に関する研究、平成21年厚生科学研究費補助金(食品の安心・安全確保推進研究事業)、総括・分担研究報告書、2010.
(当研究所機関誌「健康・栄養ニュース第33号」(平成22年9月15日発行)より転載)
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作成:2011/1/11 14:46:39 自動登録
更新:2011/1/11 15:06:06 自動登録
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研究紹介 |
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