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「身体活動時のエネルギー代謝調節機構の解明」

基礎栄養プログラム/脂質・糖代謝プロジェクト


【はじめに】

 「メタボ予防には運動がいいですよ」、「痩せるためには運動をしてください」。よく耳にする言葉ですが、身体を動かすとどうして痩せるのでしょうか。「エネルギーをたくさん使うからでしょ」という答えが返ってくると思います。では、身体を動かすことが、どのようにエネルギー消費量を増加させるのでしょうか。実は、その正確なメカニズムについては不明な点が多く、世界中の研究者がその解明に取り組んでいます。当プロジェクトでも、モデルマウスを用いて身体活動時のエネルギー消費量を制御する因子を探しています。

【対象および方法・結果】

 運動によるエネルギー消費は主に骨格筋で行われます。骨格筋が収縮するとATPが用いられ、 AMP濃度が増加します。AMP依存性プロテインキナーゼ (AMPK)は、運動や絶食など細胞内 AMP濃度が増加するような条件により活性化されます。別の研究ではAMPKの活性化が糖・脂質代謝を促進することも明らかにされています。我々は、骨格筋のAMPK活性を抑制したAMPKDN マウスを作製し、運動時のエネルギー消費に骨格筋のAMPK活性化が必要なのか検討しました。その結果、AMPK-DNマウスに脂肪を燃やすような強度(低強度)の運動を負荷しても、野生型マウスと同じように脂肪を燃やしてエネルギーを消費することがわかり、運動時の脂肪燃焼亢進に骨格筋のAMPKの関与が低いことが明らかになりました。

【今後の方向性】

 現在、別の因子(酵素X)の働きを低下させたマウスを用いて同様の検討を行っています。そのマウスでは、運動を行っても脂肪をエネルギー源として用いることができないことが示唆されています。今後、このマウスをより詳しく調べ、どのような情報伝達系が運動によるエネルギー消費、特に脂肪消費増加に必要なのかを調べていきたいと考えています。また、より効率よくエネルギー消費量を増加させるためにはどうしたら良いのかを明らかにし、肥満を中心としたメタボリックシンドロームの新規予防法、治療法としての可能性を有する情報として発信していきたいと考えています。

関連研究論文


1) Miura, S. et al. α2-AMPK activity is not essential for an increase in fatty acid oxidation during low-intensity exercise. Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 296, E47-E55( 2009).
2) Sakakibara, I. et al. Fasting-Induced hypothermia and reduced energy production in mice lacking acetyl- CoA synthetase 2. Cell Metab., 9, 191-202( 2009).
3) Setsuie, R. et al. Ubiquitin C-terminal hydrolase-L3- knockout mice are resistant to diet-induced obesity and show increased activation of AMP-activated protein kinase in skeletal muscle. FASEB J., 23, 4148- 4157( 2009).




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作成:2010/4/8 13:38:25 自動登録   閲覧数:6586
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