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「食介護の視点からみた摂食・嚥下機能に適した食形態決定のための評価法」

栄養教育プログラム/栄養ケア・マネジメントプロジェクト


【はじめに】

 超高齢社会を迎えたわが国では要介護高齢者の増加により、口からふつうの食事を食べられない高齢者が増加し、その対応を図ることが緊急に求められています。摂食・嚥下困難な高齢者に対する食事は、高齢者の摂食・嚥下機能に適した食形態の食事で対応する必要がありますが、基準となるマニュアルがなく、各施設では思い思いの名称で食事が提供されており、その食形態(食種)をチェックしたり、決定したりする人(職種)や方法もばらばらであるなど、問題が多く見受けられます。 そこで、“食介護”(食を通して全人的介護を行い、QOL を向上させる)という視点から、高齢者介護施設における食・栄養に関する実態および問題点を明らかにし、今後の対応策を図ることが緊急に必要であると考えました。

【対象及び方法】

 全国6都道府県の介護老人福祉施設(以下特養)、介護老人保健施設(以下老健)、介護療養医療施設(以下療養)合計2,769施設の管理栄養士を対象として、平成19年11月?平成20年2月、郵送法によるアンケートを実施しました。

【結果・考察】

 「食形態を決定する方法」として、3施設(特養・老健・療養)ともに多く用いられていたのは、「ミールラウンズ」と「本人や家族の意向」でした。しかし、3施設間で構成する職種が異なることによって、それぞれの内容には違いがありました。「摂食・嚥下障害をチェックする職種」「食形態を決定する職種」というのは、看護師、介護職員、管理栄養士、医師、言語聴覚士などによりますが、例えば、医師の関与が多い「療養」では、「食形態の決定」に嚥下造影(以下VF)や唾液のみテストなどの客観的評価を用いる率が高率になっています。反対に、「特養」ではVFや唾液のみテストなどは低率となっています。このように今回の調査では施設によって特徴があることがわかり、その他にも種々の問題点があることがわかりました。

【おわりに(今後の方向性)】

 いずれの施設でも高率であった「ミールラウンズ」をVF などのような客観的評価に代替する評価法にできるような研究を今後進めていきたいと考えます。また、多職種の連携協働による食介護支援チームにより対応を図ることが緊急に必要であると思われます。

関連研究論文


1) 手嶋登志子:高齢者の食事と栄養―認知症高齢者への介入研究から―、保健の科学52巻3号pp203?207、2010
2) 手嶋登志子:最近の高齢者食をめぐる話題―高齢者施設における食介護に関するアンケート調査結果を中心に―、『摂食・嚥下障害を考える第3集』、(社)生命科学振興会、2009
3) 手嶋登志子:食介護の視点から見た摂食・嚥下障害、保健の科学第50巻4号pp220?224、2008
4) 手嶋登志子:摂食・嚥下障害の食事の歴史と現状『摂食・嚥下障害を考える』、カザン出版、2007
5) 手嶋登志子著:嚥下障害食―ユニバーサルデザインフード(UDF)の活用、総合リハビリテーション第35巻1号pp62?63、2007
6) 手嶋登志子編著:『高齢者のための食介護ハンドブック』、医歯薬出版、2007
7) 手嶋登志子:介護予防における食介護―高齢者への食育―、保健の科学48巻10号pp740?743、2006
8) 手嶋登志子著:摂食・嚥下障害と食事、総合リハビリテーション第34巻7号、2006
9) 手嶋登志子:『高齢者のQOLを高める食介護論』、日本医療企画、2005
10) 手嶋登志子:高齢者の食介護と栄養管理、保健の科学47巻2号 pp104?109、2005
11) 手嶋登志子著:食介護のすすめ、臨床栄養104巻6号pp676? 684、2004



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作成:2010/4/8 13:31:04 自動登録   閲覧数:11107
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