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「日本人の2型糖尿病疾患感受性遺伝子の同定」

臨床栄養プログラム/メタボリックシンドロームプロジェクト


【はじめに】

 近年、我が国において糖尿病患者は増加の一途をたどり、罹患者数は約890万人を数えるに到っています。糖尿病は高齢者における主要な疾患の1つであり、糖尿病に肥満・脂質異常症(高脂血症)・高血圧が合併するメタボリックシンドロームは動脈硬化を促進し、心筋梗塞・脳卒中のリスク増大を介して日本人の健康寿命を短縮する最大の原因となっています。糖尿病などの生活習慣病は、複数の遺伝因子に加えて環境要因が組み合わさって発症する多因子病であり、その1つ1つの因子は単独では生活習慣病を発症させる効果は弱いのですが、複数の因子が組み合わさると生活習慣病を発症させると考えられています。本プロジェクトではこのような生活習慣病の特性を踏まえて、糖尿病を発症しやすくする日本人の遺伝素因を同定し、遺伝因子・環境要因の相互作用について研究を行っています。

【研究結果】

 これまで罹患同胞対法を用いた全ゲノム解析と候補遺伝子アプローチを組み合わせた統合的解析によってPPARγ 遺伝子、アディポネクチン遺伝子、PGC-1遺伝子、AMPK α2サブユニット遺伝子、HNF4α遺伝子、TCF7L2遺伝子とHHEX遺伝子が日本人におけるインスリン抵抗性や2型糖尿病の感受性遺伝子であることを明らかにしてきました 。1)、2)
 さらに昨年度にはWhole Genome Association Studyによる解析から6回膜貫通型の電位依存性カリウムチャンネルであるKCNQ1が日本人の2型糖尿病感受性遺伝子であることが明らかとなりました3、4()図)。本遺伝子のリスクアリル頻度は0.4?0.6で、また糖尿病発症のオッズ比が1.3? 1.4と非常に高く、今まで明らかにされた日本人の2型糖尿病感受性遺伝子の中でも最も主要な遺伝子の一つであると考えられます。さらにKCNQ1遺伝子多型はアジア人においても日本人と同様に2型糖尿病感受性遺伝子であることが確認されました。その機能については、リスクアリル保持者ではインスリン抵抗性とは相関は認められませんでしたが、インスリン分泌能の指標が有意に低下しており、 KCNQ1はインスリン分泌にかかわっている可能性が示唆されました。

【今後の展開】

 今後は、昨年同定されたKCNQ1のインスリン分泌における機能・生理的役割を検討するとともに、これまで糖尿病感受性遺伝子として同定されたものに関して、詳細な各栄養素摂取量や身体活動量の聞き取り調査のデータを完備しているコホートを用いて、遺伝因子に与える環境要因の影響などについて解明していきたいと考えています。

関連研究論文


1) Horikoshi M et al. A genetic variation of the transcription factor 7-like 2 gene is associated with risk of type 2 diabetes in the Japanese population. Diabetologia 50: 747-51, 2007.
2) Horikoshi M et al. Variations in the HHEX gene are associated with increased risk of type 2 diabetes in the Japanese population. Diabetologia 50: 2461-6, 2007.
3) Yasuda K et al. Variants in KCNQ1 are associated with susceptibility to type 2 diabetes mellitus. Nat Genet. 40: 1092-7, 2008.
4) Unoki H et al. SNPs in KCNQ1 are associated with susceptibility to type 2 diabetes in East Asian and European populations. Nat Genet. 40: 1098-102, 2008.



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作成:2010/4/8 13:23:05 自動登録   更新:2010/4/8 13:31:22 自動登録   閲覧数:5257
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