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科学的根拠に基づく健康・栄養情報の系統的収集と評価


【はじめに】

 健康・栄養情報プロジェクトでは、国民、健康や栄養・食品分野の専門家など、それぞれの立場の方が必要としている健康や栄養・食生活に関する国内外の情報を収集するとともに、それらの情報を精査・評価してデータベースとして蓄積し1)、研究所のホームページやニュースレターを通じて分かりやすく提供しています。こうした取り組みにより、皆様が正確かつ適切な情報を把握し、望ましい健康行動が選択できるように支援しています。


【対象及び方法】

 国内外の文献データベース(PubMed, EMBASE, CENTRAL, ICHUSHI, CNKIなど)より、健康・栄養に関する科学的文献、特にエビデンスレベル(科学的根拠の信頼性)が高いとされている無作為化比較試験に関する論文を網羅的に検索・収集し、関連データを抽出し、各研究の質を考慮した上で系統的レビュー・メタ分析手法を用いて総合的に評価を行っています。メタ分析は、過去に行われた複数の研究結果を統計的に統合し、より信頼性の高い科学的根拠を求める研究方法です。


【研究結果】

 これまで、ヒトにおいて大豆タンパク質そのものの影響をコントロールし、分離大豆タンパク質中のイソフラボンの血中脂質(総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)への効果を解明するためにメタ分析を行ってきました2, 3)。今回はその結果に基づき、大豆イソフラボンの脂質代謝改善作用について報告します。

 イソフラボンは大豆食品の成分として大豆タンパク質と同時に1-3ヶ月間摂取した場合、特に高コレステロール血症の対象者において、血中コレステロールへ相加的または相乗的改善効果がありますが、血中コレステロールが正常な閉経期の女性においては、抽出大豆イソフラボン単独摂取による脂質への改善効果を認めないことが示唆されました。従って、血中コレステロールが高めの方、特に閉経後の女性において、抽出大豆イソフラボンのサプリメントではなく、日常的に大豆食品(完全な分離大豆タンパク質を含む)を多く摂るようにしたほうがむしろ血中脂質改善効果が期待できると思われます。大豆抽出イソフラボンの中長期効果及び安全性を検証するためには、さらなる研究が必要です。


【今後の方向性】

 今後、科学的根拠に基づく健康・栄養情報の系統的収集と評価を継続的に行い、信頼性のある情報の提供に努めていきたいと考えています。また、「機能性食品因子データベース」(https://www.nihn.go.jp/FFF/))などをより多くの方々にとって役立つ情報提供システムに発展させるために、関連の専門職や機関と連携できるネットワークを強化していきます(図)。【情報センター/健康・栄養情報プロジェクト】



関連研究論文

1) 渡邊昌、卓興鋼.ファンクショナル・フードファクター・データベースと食品の安全性.日本補完代替医療学会誌、2(2):101-111,2005

2) Taku K, Umegaki K, Sato Y, Taki Y, Endoh K, Watanabe S. Soy isofl avones lower serum total a-nd LDL cholesterol in humans: a meta-analysis of 11 randomized controlled trials. Am J Clin Nutr, 85(4): 1148-1156, 2007

3) Taku K, Umegaki K, Ishimi Y, Watanabe S. Effects of extracted soy isofl avones alone on blood total and LDL cholesterol: Meta-analysis of randomized controlled trials. Therapeutics and Clinical Risk Management, 4(5):
1097-1103, 2008

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第8巻2号(通巻29号)平成21年9月15日発行から転載
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作成:2009/9/28 16:59:40 自動登録   更新:2009/9/28 17:03:53 自動登録   閲覧数:4930
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