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抗酸化活性に着目した食品の機能性に関する研究

【はじめに】

 私たちが生きていくために酸素は必要不可欠ですが、その酸素の一部が体内で活性酸素となり、がんや動脈硬化を始めとする数々の病気の原因の一つになることが、近年わかって来ました。一方、野菜や果物などの食品には、この活性酸素を消去する抗酸化機能を持った多数の抗酸化物質が含まれており、健康の維持・増進に役立っています。食品機能プロジェクトでは、食品の抗酸化機能に着目した研究を行っており、今回はそのうち、ビタミンC配糖体の抗酸化活性に注目した研究成果を紹介します。


【ビタミンC配糖体の抗酸化活性】

 ビタミンC(L-アスコルビン酸)は、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、活性酸素等のラジカル(反応性が非常に高い有害物質)を消去することにより、抗酸化作用を発揮します。しかし、ビタミンCは加熱や光等に対し不安定で、調理損失が大きいと言う弱点があります。L-アスコルビン酸 2-グルコシド(AA-2G)は、その弱点を補った安定なビタミンC配糖体で、食品添加物としても利用されています。これまでAA-2Gは人の消化酵素で代謝を受け、ビタミンCとして作用すると考えられていましたが、その抗酸化活性について詳細に検討した結果、AA-2GそのものがビタミンCとは全く違う作用機序を持った抗酸化物質であることを見い出しました1)。また、AA-2Gと良く似た構造をした L-アスコルビン酸 2-􃸥-グルコシド(AA-2􃸥G)が、試験管内でビタミン Cに匹敵する強い抗酸化活性を示すことも明らかになりました2)。AA-2􃸥Gは薬膳料理等に使われるクコの実に高濃度含まれています(乾燥クコの実100g中740mg程度含有)。近年、クコの実は血圧、コレステロール低下作用、免疫賦活作用等を持つ健康食品素材として注目されていますが、その作用機序は不明で、科学的根拠は十分とは言えません。AA-2􃸥Gの抗酸化作用が、クコの実の何らかの食品機能に関わっているかどうか、さらなる研究が望まれます。


【今後の研究の方向】

 このように、食品中の抗酸化成分一つ一つに着目して、その機能を明らかにする研究を行う一方で、私たちが通常食べている食事全体の抗酸化機能に注目した研究も重要だと考えます3)。健康を維持するために、全体としてどのくらいの量の抗酸化物質を毎日摂る必要があるのか、実はまだ良くわかっていません。そこで、私たちは、日常的な食事の中にどのような抗酸化物質が含まれているのか、そして、それらの抗酸化物質がどのように体の役に立っているかについて研究を進めているところです。【食品保健機能プログラム/食品機能プロジェクト】




関連研究論文

1) Takebayashi, J., Asano, R., Nakae, Y., Saito, M., Gohda, E., Yamamoto, I., Tai, A., “2-O-α-D-glucopyranosyl-L-ascorbic acid scavenges 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl radicals via a covalent adduct formation”, Biosci. Biotechnol. Biochem ., 71, 754-760,( 2007)

2) Takebayashi, J., Yagi, Y., Ishii, R., Abe, S.,Yamada, K., Tai, A., “Antioxidant properties of 2-O-β-D-glucopyranosyl-L-ascorbic acid”, Biosci. Biotechnol.Biochem ., 72, 1558-1563,( 2008)

3) 渡辺純、沖智之、竹林純、山崎光司、津志田藤二郎, “食品の抗酸化能測定法の統一化を目指して ―ORAC法の有用性と他の測定法との相関性―”, 化学と生物, 47, 237-243,( 2009)

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第8巻1号(通巻28号)平成21年6月15日発行から転載
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作成:2009/9/25 16:38:09 自動登録   更新:2009/9/25 16:49:53 自動登録   閲覧数:5318
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