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今、生体指標プロジェクトでは

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 生体指標とは、尿や血液中に含まれる生体由来の物質で、生体内の生物学的変化を定量的に把握するための指標となるものをさします。例えば、肝機能の指標となる血清中のγ-GTPはよく知られている生体指標です。

 生体指標プロジェクトでは、健康及び栄養状態を評価するための生体指標を用いて、ミネラルとその代謝に関わるビタミンの必要量に関する基礎的な研究を行っています。また、これまでに用いられてきた生体指標を検証するとともに、新たな生体指標の確立を目指しています。

 さて、私たちが健康を維持するためには、何をどれだけ食べればよいのかを知ることが必要です。生体指標プロジェクトでは、ヒトを対象として、食事中のカルシウム、リン、マグネシウム、クロム、モリブデン、セレンといったミネラルがどのくらい吸収され、どのくらい排泄されるかを調べることにより、栄養素の摂取量と排泄量が等しくなる量(平衡維持量)を測定しています。

 具体的には、対象者が食べたものと全く同じに作られた食事(陰膳)、対象者の糞および尿をそれぞれすべて集めて分析し、各々の栄養素の平衡維持量を求めます。これにより、栄養素の必要量がわかります。また、最近では、食塩の摂取量が少ないと、カルシウムとマグネシウムの代謝に悪影響を及ぼすことが明らかになり、極端な塩分制限は有害であることを明らかにしています。

 一方、ミネラルのうち、カルシウム、リン、マグネシウムは骨の重要な構成成分ですが、骨の健康を維持するためには、小腸でのカルシウム吸収を助けるビタミンDや骨の形成に関与するビタミンKやビタミンCといったビタミンが必要です。このうちビタミンKは、骨の健康を維持するために、どのくらい摂取すれば十分なのかまだよく分かっていません。

 そこで、私たちは、骨密度が低下する閉経後の健常な女性を対象として、ビタミンKの骨に対する作用について調べています。このとき、生体指標としては、ビタミンKの栄養状態を反映する血中の不活性型オステオカルシン(低カルボキシル化オステオカルシンといいます)を用います。これは骨折の予知因子としても知られています。これらのミネラルやビタミンに関する研究で得られた成果は、5年ごとに改定される「日本人の食事摂取基準」策定の参考資料となっています。

 ところで、生体指標は健康状態によって量的に変化するために、ある特定の生体指標の量を測定することで疾病の効率的な予防法や治療法の確立等が可能となります。私たちは、生活習慣病に関連する新しい生体指標の確立を目指しています。

 これまでに、ビタミンA、D、Eの結合たん白質などに着目して研究を行ってきました。また、骨代謝に関連する生体指標を測定するとともに骨密度を測定し、栄養と運動の介入による骨粗鬆症の予防効果に関する研究も行っています。共同研究も大歓迎ですので、興味のある方はご一報下さい。【石見佳子】



ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻3号(通巻26号)平成21年1月15日発行から転載


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作成:2009/1/26 14:36:02 自動登録   更新:2009/1/27 8:55:47 自動登録   閲覧数:7421
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