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肥満に関連する生活習慣の経年変化(1976-2003)の検討:地域的特徴に焦点をおいて

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日本人における肥満者の割合の経年的な変化

 わが国では、2000年に厚生労働省により新たな健康づくり運動である「健康日本21」が示されました。「健康日本21」では、「栄養・食生活」を始めとする9つの重点分野について、2010年までに達成すべき70項目の目標が設定されています。この中の優先目標の一つとして肥満の予防対策が挙げられ、個別の食事指導や栄養教育を中心とした施策が進められてきました。

 しかし、2005年に実施された中間評価によると、肥満(BMI ≥ 25.0)の分布は20?60歳代男性で29.0%(目標値:15%以下)、40?60歳代女性で24.6%(目標値:20%以下)と、依然として目標値よりはるかに高いのが現状です。

 これまでの先行研究から、肥満対策プログラムを効果的に進めるためには、個別アプローチの拡充を図るのみならず、肥満に関連している生活習慣に影響を及ぼす社会経済的要因や環境因子を把握することが重要であることが指摘されてきました。そこで、食生活及び身体活動に関する指標の経年変化及び地域的特徴を検討することを目的として本研究を実施しました。

 本研究では、国民栄養調査のデータ(1976–2003年)を用いて、15歳以上の385,559人の身体測定、食生活(朝食の欠食、昼食・夕食の外食率、飲酒)及び身体活動(運動習慣、1日の歩行数)に関する指標データの二次解析を行いました。居住地は、人口規模別に「12大都市」、「人口15万以上の都市」、「人口5?15万未満の市」、「人口5万未満の市、町村」の4つに分類し、地域的特徴の検討を行いました。

 肥満(BMI ≥ 25.0)の分布は、男性(特に、20?60歳代)は一貫して増加していますが、女性は減少しています。また、地域別では、男女ともに人口規模の小さい地域に最も肥満が多く、大都市に少ない傾向が見られました。

 食生活に関する指標、すなわち朝食の欠食率および昼食・夕食の外食率は、性・年齢階級別、人口規模別のいずれにおいても類似の経年変化を示し、大都市の40歳代以下の男性で高い傾向が見られました。特に、夕食の外食率は1976年?2003年の間に大きな変動が観察されており、1985年?1995年に最も高値を示しましたが、これはわが国の「バブル経済期」と一致しています。

 その後、1996?2000年に大きく低下しましたが、特に若年層の男性にこの変動が顕著に見られました(図1)。さらに、最も夕食の外食率の高い20?30歳代のデータを人口規模別にみたとき、大都市部で最も変動が大きく、ピーク?低下へと転じる位相は、人口規模が小さい地域の方が遅い傾向が見られました(図2)。

 一方、運動習慣者の割合の経年変化は50歳代以上では増加傾向が見られましたが、20?40歳代では、1991年以降はほぼ横ばいで変化が見られませんでした。地域別に見ると、人口規模の大きな地域の方が運動習慣者の割合が高い傾向が見られました。また、BMIと歩数の相関についても併せて検討したところ、男女ともに20?60歳代では標準体重者の方が肥満者よりも有意に歩数が多いことも明らかになりました。

 今回の解析により、肥満に関連している生活習慣に影響を及ぼす環境因子の地域的特性が明らかとなりました。また、国全体の経済状況によって食生活(特に、夕食の外食率)が大きく影響を受けることが示唆され、この傾向は特に大都市において顕著に見られました。

 これらの結果から、特に、若年層と中高年に焦点を置き、望ましい生活習慣を促進するための地域別アプローチを強化することが重要と考えられます。【三好美紀】





出典:Miyoshi M, Hayashi F, Arai Y, Nozue M, Yoshita K, Yoshiike N :Regional Characteristics of Secular Changes in Obesity-Related Lifestyle Behavior in Japan. Anti-Aging Medicine 5(2): 30-38, 2008

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻2号(通巻25号)平成20年9月15日発行から転載
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作成:2008/10/3 10:42:19 自動登録   更新:2009/2/10 9:59:39 自動登録   閲覧数:8392
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