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肝臓の糖・脂質代謝調節におけるインスリン受容体基質(IRS)-1、IRS-2の役割の解明

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 肝臓は、アルコールに代表される様々な物質の分解や解毒作用を司るばかりでなく、空腹時に糖を産生したり、食後には糖を取り込み脂肪合成をおこなうなど糖・脂質代謝においても重要な役割を果たしている。膵臓から分泌されるインスリンは肝臓において糖の産生を抑制したり、脂肪合成を促進したりする役割を担っており、この調節にはインスリン受容体基質(IRS)-1と2が重要な役割を果たしていることが知られている。しかしその調節機構の詳細はなお十分に分かっていなかった。

 そこでこの研究ではIRS-1とIRS-2がそれぞれ肝臓においてのみ欠損しているマウスを作製し、その生理的役割について検討した。

 その結果、IRS-1とIRS-2は時間的な役割の分担、すなわちIRS-2は主に絶食時にIRS-1は食後に作用していることが分かった。また、絶食時に肝臓のIRS-2が十分にあることが食後の高血糖を抑制する上で重要であることが示唆された。IRS-2の量はインスリンによって負に制御されている(IRS-2はインスリンによってその発現が抑制される)ことを考え合わせると、肥満のためにインスリン抵抗性となり常に血液中のインスリンレベルが増加した状態や、定時の食事以外にも間食などをしてインスリンレベルが増加した状態では、食事の前のIRS-2の発現量が正常なレベルにまで上昇せず、食後高血糖につながると考えられた(図)。

 従って、糖尿病の予防や治療では、肥満がある場合には肥満を解消する、食事は3食リズムよく食べ、特に十分な絶食時間をとるために夕食は早目に食べる、間食は極力控えることが改めて大切だと考えられた。【門脇孝、窪田直人、窪田哲也】



出典:Kubota N, Kubota T, Itoh S, Kumagai H,Kozono H, Takamoto I, Mineyama T, Ogata H,Tokuyama K, Ohsugi M, Sasako T, Moroi M, Sugi K,Kakuta S, Iwakura Y, Noda T, Ohnishi S, Nagai R,Tobe K, Terauchi Y, Ueki K, Kadowaki T.Dynamic functional relay between insulin receptor substrate1 and 2 in hepatic insulin signaling during fasting and feeding. Cell Metab. 8: 49-64, 2008

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻3号(通巻26号)平成21年1月15日発行から転載


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作成:2009/1/26 15:14:03 自動登録   更新:2009/2/10 10:16:25 自動登録   閲覧数:21326
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