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佐久肥満克服プログラム
― Saku Control Obesity Program( SCOP)―


 現在、国立健康・栄養研究所では渡邊理事長を研究代表者として、栄養疫学・栄養教育・健康増進など研究所の各プログラムが共同で、かつ外部の先生方にも協力を仰ぎ、『佐久肥満克服プログラム』という研究に取り組んでいます。

 この研究は、本年四月から実施されているメタボリックシンドローム予防を目指した特定健診・特定保健指導を、より効果的・効率的に行っていくためのエビデンス(根拠)づくりの研究として、2年前に開始されました。

 本研究では、長野県にある佐久総合病院人間ドック受診者の方達の中で、特に肥満傾向が強い方(BMIが平均30程度)を対象として、栄養士・運動指導員・医師・看護師などからなるチームが実施する行動科学的アプローチに基づく栄養・運動教育の効果を検証しようとしています。

 実際には、希望者を無作為にAB二つのグループに分けて、研究開始時には両方のグループに研究全体の説明と特定健診と同様の検査を実施し、その後1年かけてAグループには色々な検査や指導(介入)を行い、Bグループには何もしませんでした。

 Aグループには、1、3、6、9、12ヶ月時に、腹部CTによる内臓脂肪の検査を含め、様々な身体計測、血液、尿検査とともに、栄養士、運動指導員から個別の栄養・運動教育やグループでの運動指導を実施しました。また、体重計、活動量計(歩数や活動エネルギーがわかるもの)、クッキングスケールを配布しました。そして、個々人が立てた減量するための目標、例えば「ごはんを1杯にする」「油ものを減らす」「9000歩歩く」などを書き込んで、その目標を達成できたかどうかを体重や歩数などとともに記入する日誌や、食事を記録する用紙、食事や運動についてのポイントを書いたパンフレットなどを、一冊にまとめたバインダーを手渡しました。

 介入1年後には、Aグループは平均で、体重4.5kg、腹囲4.1cm、内臓脂肪25.1cm2が減少しました。また、歩数は増加し、血圧や各血液検査データも改善したため、メタボリックシンドロームと判定される人が、開始時の60%から1年後には37%になりました。Bグループは、各指標の変化がほとんどないか、ものによっては悪化しており、メタボリックシンドロームの割合は10%程度上昇していました。(表1)

 2年目は、介入グループを交替し、Bグループに介入を行っています。

 今回の結果を踏まえて、メタボリックシンドローム予備軍など軽度肥満の人も含めたコホート研究などに新たに取り組んでいます。【森田明美】

出典:Morita A, Ohmori Y, Suzuki N, Ide N, Morioka M, Aiba N, Sasaki S, Miyachi M, Noda M, Watanabe S: Anthropometric and Clinical Findings in Obese Japanese: The Saku Control Obesity Program(SCOP). Anti-Aging Med. 2008; (5 1):13-16

Watanabe S, Morita A, Aiba N, Miyachi M, Sasaki S, Morioka M, Noda M, Takebayashi T, Kimira M: Study Design of the Saku Control Obesity Program(SCOP). Anti-Aging Med.2007; 4(2):70-73

Aiba N, Watanabe S, Morita A, Suda N, Taguchi H, Miyachi M: Nutritional Education and Exercise Treatment Based on Cognitive Behavioral Treatment in Saku Control Obesity Program (SCOP). Anti-Aging Med. 2008; 5(2):39-45



ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻2号(通巻25号)平成20年9月15日発行から転載
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作成:2008/10/2 16:47:23 自動登録   更新:2009/2/9 17:00:23 自動登録   閲覧数:8384
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