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筋発揮張力維持法を用いたレジスタンストレーニング(スロートレーニング)の筋肥大・筋力増強効果に関する研究

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 健康で自立した日常生活を送るために必要な筋力・筋量を維持することは、ご本人にとっても社会にとっても重要な課題といえます。中・高齢者向けの筋力トレーニングは、循環器障害や整形外科的傷害に対する安全性を優先し、低負荷(50%1RM以下:全力で1回挙上できる最大の重さの50%以下)で行われることが一般的ですが、このようなトレーニングでは、筋持久力増大の効果が期待できても、筋肥大や筋力増強効果が期待できない(FleckとKraemer, 1987)とされてきました。

 そこで本研究は、比較的低荷を用いても、高い筋肥大・筋力増強効果が期待できるとされる「筋発揮張力維持法(以下LSTと表記)」を用いた全身のトレーニングプログラムの効果の検証を行いました。LSTは、ゆっくりと動作することで筋発揮張力を維持しながら行う(力を入れ続けて動作する)トレーニング法で、一般に「スロートレーニング」、「スロトレ」などの名称で呼ばれ、すでに広く行われているトレーニング法です。持続的な筋内圧の上昇による筋血流の制限、およびそれによる無酸素性代謝物の蓄積等が筋肥大を引き起こす要因になっているのではないかと考えられています。


 実験は平均年齢19歳の男子学生24名を用いた運動介入を行いました。トレーニングマシンを用いた5種目の全身のトレーニングプログラムを、LST法で行う群(約50%1RMを用いて3秒上げ・3秒下げで動作)と、高負荷重量を用いた通常の筋力トレーニング法(以下HNと表記:約80%1RMを用いて1秒上げ・1秒下げ・1秒休みで動作)で行う群、また、比較対象としてトレーニングを行わない群(以下CONと表記)の3群を設定しました(各群8名)。

 運動は各セット8回を3セット、セット間の休憩は1分間とし、これを週2回、12週間行いました。なお、LST,HNの使用重量はそれぞれの動作方法で8回を反復できる最大の重量(8RM)としました。

 各群の運動中の生理応答と運動前後の筋肥大・筋力増強効果を比較し、LSTの効果を検証しました。

 LSTでは運動中の筋酸素化レベルの低下がHNと比べて有意に低く(LST: 8.0±25.7 %, HN:30.3±10.8%)、無酸素性の代謝物である乳酸の運動後の血中濃度がHNと同等に上昇することが観察されました(LST: 11.0±2.5mM, HN: 12.0±2.5mM)。

 そして12週間の運動による筋量・筋力はともにHNと同等の有意な増加を示しました(筋肉量:全身7か所の筋厚の総量の増加率 LST:6.8±3.4%, HN: 9.1±4.2%)(筋力:トレーニングを行った5種目の最大挙上重量の総量の増加率LST: 33.0±8.8%, HN: 41.2±7.8%)。

 LSTでは用いる負荷重量が小さくても筋内の酸素濃度を下げて、乳酸の蓄積などの代謝的環境を苛酷にすることで筋肥大・筋力増強を起こしたものと考えられます。また、運動中の血圧の上昇はLSTでは、HNよりも有意に低い値を示しました(運動中最大拡張期血圧:LST: 124.4±29.4 mmHg, HN: 183.4±33.0 mmHg) 。

 通称「スロートレーニング(スロトレ)」と呼ばれる比較的低重量を用いて行うLSTは、整形外科的傷害の危険性や心臓・血管系に与える負担が小さく、安全かつ筋肥大・筋力増強に効果的なトレーニング法として提案することができると考えられます。【谷本道哉、宮地元彦、田畑泉】



出典 M. Tanimoto, K. Sanada, K. Yamamoto, H. Kawano, Y. Gando, I. Tabata, N. Ishii, M. Miyachi,2008, Effects of whole-body low-intensity resistance training with slow movement and tonic force generation(LST) on muscular size and strength in young men. Journal of Strength and Conditioning Research, in press

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻1号(通巻24号)平成20年6月15日発行から転載


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投票数:13 平均点:4.62
作成:2008/9/29 13:36:22 自動登録   更新:2009/2/9 16:59:07 自動登録   閲覧数:17202
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