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筋力トレーニングを実施する際の血圧上昇は若者より中年者の方が小さい

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〈背 景〉
 健康増進プログラム運動ガイドラインプロジェクトでは、健康増進(生活習慣病予防や介護予防)を目的とした効果的で安全な筋力トレーニング方法に関する研究を実施している。

 筋力トレーニングは筋力増加や骨密度の上昇などの好ましい効果がある反面、運動中の血圧が著しく上昇し、クモ膜下出血や大動脈解離などの血管イベントを誘発しやすい運動であることが知られている。

中年者が安全に筋力トレーニングを実施するためには、血圧の上昇がより少ない方法を検討する必要があるが、中年者の筋トレ実施中の血圧反応に関する詳細は明らかになっていなかった。そこで、本研究では、中年男性の筋トレ実施中の血圧反応を若者と比較することを目的とした。


〈方 法〉
 12名の若者と9名の中年の健康男性が研究に参加した。仰臥位安静での血圧や動脈スティフネスを最初に測定した。その後、最大挙上筋力(1RM)の40%、60%、80%に相当する両脚伸展運動と145kgwの絶対強度の両脚伸展運動を4秒に一回のテンポで10回実施させた。筋トレ中にいきみや息こらえをしないようにさせた。各試行間に十分な休息を挟んだ。各運動開始前の安静時と運動中の血圧を、橈骨動脈でアプラネーショントノメトリーを用いて非侵襲的かつ連続的に測定した。


〈結 果〉
 安静時の拡張期血圧や動脈スティフネスは、先行研究と同様に、若者よりも中年の方が有意に高かった。

 図左に示したとおり、安静時から運動終了直前の収縮期血圧上昇は全ての運動強度で若者の方が中年者よりも有意に大きく、拡張期血圧も収縮血圧と同様に中年の方が小さな血圧上昇であった。また同じ重量挙上した際も、若者より中年の方が収縮期血圧の上昇反応が小さかった。

 図右下の通り、心拍数の増加に両年齢間の差はないことから、血圧上昇反応の違いは挙上重量や運動強度の違いに依存していない。


〈考察と結論〉
 加齢により動脈壁の進展性が低下し、安静時血圧が上昇することから、筋トレ中の血圧上昇も若者よりも中年者の方が大きいと仮説を立てたが、その仮説に反して筋トレ中の血圧上昇は若者よりも中年者の小さいことが明らかとなった。これには、中年と若者との間の運動中の自律神経の働きの違いや、筋線維の組成や動員の違いなどが関連していると推測される。

 中高齢者に筋トレを実施させるのは血圧上昇の観点から危険が伴うと考えられてきたが、正常血圧の健康な中高齢者が正しく筋トレを実施するのであれば、著しい血圧上昇は誘発されないことがわかった。高血圧患者やその他の生活習慣病を有する者での検討も今後必要である。【河野寛、宮地元彦】



出典:Kawano H, Nakagawa H, Onodera S, Higuchi M, Miyachi M. Attenuated increases in blood pressure by dynamic resistance exercise in middle-aged men. Hypertens Res. 2008;31(5):1045-53.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻2号(通巻25号)平成20年9月15日発行から転載


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作成:2008/10/3 10:01:27 自動登録   更新:2009/2/9 17:06:17 自動登録   閲覧数:13413
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