運動と大豆イソフラボンの併用は雄性骨粗鬆症モデル動物の骨量減少をより効果的に抑制する
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高脂肪食を摂った骨粗鬆症モデルラットに関連した遺伝子発現を経て、
イソフラボンは脂質代謝を制御する
「骨粗鬆症」という言葉を聞くと、大抵女性の閉経や更年期に関係している病気というイメージを浮かべる人が多いが、実際には骨粗鬆症は女性の" 特許" ではない。近年、高齢男性の骨折率の増加がみられ、男性における骨粗鬆症の問題が取り上げられている。
確かに、男性には女性のような閉経という性ホルモン(エストロゲン)の急減による骨量低下はみられないが、40 代から50 代にかけて男性ホルモン(テストステロン)が少しずつ減り始め、何も感じないまま骨の量が減っていく。そのうえ、食習慣、喫煙、飲酒、運動不足などの生活習慣が関わって、このような" 沈黙の病気" が進みやすくなる。やがて骨が脆くなり、骨折が起こり、寝たきりにつながってしまう。従って、男性においても生活習慣の改善による骨粗鬆症に対する一次予防は、高齢化社会にとって重要かつ緊急な課題である。
我々は、女性ホルモンの欠乏によっておこる閉経後骨粗鬆症に対する大豆イソフラボンの予防効果を、骨粗鬆症モデル動物を用いて明らかにしてきた。大豆イソフラボンは弱い女性ホルモン様の作用を持つことから、植物性女性ホルモンといわれている。一方、骨は運動器官であり、運動刺激は骨の代謝を促すことから、大豆イソフラボンと運動の併用は、閉経後骨粗鬆症の予防に一層効果的であることが我々の研究で明らかになった。
男性の骨粗鬆症の発症は、男性ホルモンの減少に関わりながら、骨量の減少は血中男性ホルモンの濃度よりむしろ血中女性ホルモンの濃度と強く関係していることが臨床的データから示された。つまり、男性においても骨量の維持には、女性と同様にエストロゲンが重要な役割を果たしていることが示唆された。
このような研究結果を踏まえ、我々は男性骨粗鬆症モデル動物の骨量低下に対する大豆イソフラボンと運動の併用による予防効果を検討した。つまり、男性骨粗鬆症モデル動物に大豆イソフラボン投与、中強度の走運動および両者の併用を一ヶ月間介入し、骨密度、骨組織構造などデータを比較検討した。
その結果、大豆イソフラボンと運動の併用群では、大腿骨の骨密度および骨の構造は、何も処置しなかった群より著しく改善され、またそれぞれの単独介入に比べ改善の度合いが大きかった。
これらの結果から、男性においても女性と同様に積極的な骨粗鬆症の予防策を取るべきであり、生活習慣を改善することよって骨粗鬆症に対する予防効果が期待できる可能性が示唆された。今後、男性の骨粗鬆症予防に有効な新規食品成分を検索し、さらにヒトにおける安全性・有効性試験を実施する予定である。【呉 堅】
出典:Jian Wu, Xin Xiang Wang, Hiroshige Chiba, Mitsuru Higuchi, Misao Takasaki,Atsutane Ohta and Yoshiko Ishimi. Combined Intervention of Exercise and Genistein Administration Prevented Androgen Deficiencyinduced Bone Loss in Mice. J Appl Physiol. 94:335-342; 2003
文献問い合わせ:ishimi@nih.go.jp
ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻1号(通巻4号)平成15年6月15日発行から転載
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確かに、男性には女性のような閉経という性ホルモン(エストロゲン)の急減による骨量低下はみられないが、40 代から50 代にかけて男性ホルモン(テストステロン)が少しずつ減り始め、何も感じないまま骨の量が減っていく。そのうえ、食習慣、喫煙、飲酒、運動不足などの生活習慣が関わって、このような" 沈黙の病気" が進みやすくなる。やがて骨が脆くなり、骨折が起こり、寝たきりにつながってしまう。従って、男性においても生活習慣の改善による骨粗鬆症に対する一次予防は、高齢化社会にとって重要かつ緊急な課題である。
我々は、女性ホルモンの欠乏によっておこる閉経後骨粗鬆症に対する大豆イソフラボンの予防効果を、骨粗鬆症モデル動物を用いて明らかにしてきた。大豆イソフラボンは弱い女性ホルモン様の作用を持つことから、植物性女性ホルモンといわれている。一方、骨は運動器官であり、運動刺激は骨の代謝を促すことから、大豆イソフラボンと運動の併用は、閉経後骨粗鬆症の予防に一層効果的であることが我々の研究で明らかになった。
男性の骨粗鬆症の発症は、男性ホルモンの減少に関わりながら、骨量の減少は血中男性ホルモンの濃度よりむしろ血中女性ホルモンの濃度と強く関係していることが臨床的データから示された。つまり、男性においても骨量の維持には、女性と同様にエストロゲンが重要な役割を果たしていることが示唆された。
このような研究結果を踏まえ、我々は男性骨粗鬆症モデル動物の骨量低下に対する大豆イソフラボンと運動の併用による予防効果を検討した。つまり、男性骨粗鬆症モデル動物に大豆イソフラボン投与、中強度の走運動および両者の併用を一ヶ月間介入し、骨密度、骨組織構造などデータを比較検討した。
その結果、大豆イソフラボンと運動の併用群では、大腿骨の骨密度および骨の構造は、何も処置しなかった群より著しく改善され、またそれぞれの単独介入に比べ改善の度合いが大きかった。
これらの結果から、男性においても女性と同様に積極的な骨粗鬆症の予防策を取るべきであり、生活習慣を改善することよって骨粗鬆症に対する予防効果が期待できる可能性が示唆された。今後、男性の骨粗鬆症予防に有効な新規食品成分を検索し、さらにヒトにおける安全性・有効性試験を実施する予定である。【呉 堅】
出典:Jian Wu, Xin Xiang Wang, Hiroshige Chiba, Mitsuru Higuchi, Misao Takasaki,Atsutane Ohta and Yoshiko Ishimi. Combined Intervention of Exercise and Genistein Administration Prevented Androgen Deficiencyinduced Bone Loss in Mice. J Appl Physiol. 94:335-342; 2003
文献問い合わせ:ishimi@nih.go.jp
ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻1号(通巻4号)平成15年6月15日発行から転載
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高脂肪食を摂った骨粗鬆症モデルラットに関連した遺伝子発現を経て、イソフラボンは脂質代謝を制御する
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作成:2008/7/17 14:32:52 自動登録
更新:2009/2/9 11:55:57 自動登録
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水溶性ビタミン「ナイアシン」のヒトにおける代謝 |
研究紹介 |
DHA を守る抗酸化的防御機構とその機能性食品素材開発への応用 |