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わが国の妊婦・授乳婦の栄養摂取状況について


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 妊娠期から授乳期は、最も女性にとって栄養が大切な時期にあたります。

 胎児が発育するために必要なすべての栄養は、胎盤を通じて母体から供給されています。また、離乳を開始していない乳児にとって、母乳は大切な栄養の供給源です。しかし、わが国では妊娠中や授乳中の女性の栄養状態について、全国レベルでの報告はほとんどされていません。

 そこで、日本人を代表するデータである国民栄養調査データを用い、わが国の妊婦・授乳婦における栄養素および食品摂取状況とヘモグロビン値(Hb)について疫学的な検討を行いました。

 対象は1995?99年の国民栄養調査データの妊婦330名及び授乳婦388名と、それぞれの群に対し年齢・調査年および地域・血液検査の有無で1対1マッチングさせた非妊婦・非授乳婦(対照群)です。妊婦群の平均年齢は29.2歳、授乳婦群では32.1歳でした。

 妊婦群、授乳婦群のいずれも、対照群に比べ喫煙者、飲酒者、運動習慣者の割合が有意に低いという結果でした(p<0.01)。

 栄養素等の摂取状況を比較したところ(表1)、妊婦群と対照群ではエネルギー摂取量に有意差が見られませんでした。授乳婦群は対照群に比べ有意に(p<0.01)エネルギー摂取量が高いという結果でした。妊婦群、授乳婦群のいずれも、対照群に比べ炭水化物、カルシウム、ビタミンB2の摂取量が有意に高く(p<0.05)、牛乳・乳製品の摂取量が有意に高く(p<0.05)、アルコール類の摂取量が低いという結果でした(p<0.01)。食事からの平均鉄摂取量は妊婦群で11.0mg/日と低い結果でした。

 妊婦群の22.9%が貧血者(Hb値11g/dl未満を貧血とした場合)でした。授乳婦群と非妊婦・非授乳婦群での割合(Hb値12g/dl未満を貧血とした場合)は、それぞれ11.1%、15.7%でした。妊婦群では、Hb値10g/dl未満の人の割合は妊婦群で5.7%みられ、授乳婦群では2.0%、妊婦の対照群では1.7%、授乳婦の対照群では3.3%でした。各群における貧血者とそうでない人とで栄養素摂取量を比較しましたが、鉄摂取量に差は見られませんでした。

 わが国の妊婦・授乳婦は非妊婦・非授乳婦に比べ、喫煙やアルコール摂取を控えており、乳製品を多くとっているなど、生活習慣や食事摂取に配慮していることが明らかとなりました。

 我々の従来の予想に反して、妊婦群では対照群に比べてエネルギー摂取が多くないという結果でした。

 国民栄養調査では、妊婦は妊娠19週未満と19週以上のどちらかに区分されています。今回の対象者330名中223名が妊娠19週以上であり、約3分の2がつわりの時期を過ぎた人々であったにもかかわらず、こうした結果が得られたことは興味深いと思います。

 また、妊婦群では貧血者の割合が高いものの、妊娠中の生理的な循環血漿量増大に伴うと考えられる、軽度貧血者の割合が高いという結果でした。【瀧本秀美】



出典:Takimoto H,Yoshiike N,Katagiri A, Ishida H, Abe S: Nutritional status of pregnant and lactating women in Japan: a comparison with non-pregnant / non-lactating controls in the National Nutrition Survey. J Obstet Gynaecol Res: 29(2): 96-103, 2003

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第3巻2号(通巻9号)平成16年9月15日発行から転載


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作成:2008/7/11 17:07:35 自動登録   更新:2009/2/9 10:11:39 自動登録   閲覧数:16786
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