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若い女性における「やせ」の増加傾向について

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 世界的に見た場合、肥満は大きな健康問題のひとつであると考えられています。

 新聞やテレビなどで、肥満による健康障害の危険性についての情報を目にしない日はないくらいでしょう。こうした報道がきっかけとなって、やせ願望のつよい若年女性が不必要な減量行為を行うことが危惧されます。

 過度の減量行為は、栄養素の欠乏や月経不順、摂食障害の原因となることがこれまでの多くの研究から指摘されています。ところが、先進国における「やせ」による健康障害に関しては、肥満による健康障害ほど多く報告されているわけではありません。

 しかし、中高年層を対象とした追跡研究によれば、「ふつう」体型の者に比べて「やせ」体型の群の死亡率が高いという結果が得られています。また、妊娠前に「やせ」であった女性では、胎児の子宮内発育遅延や低出生体重の危険性が増すことが指摘されています。では、近年話題となっている若い女性の「やせ」の割合は本当に増加しているのでしょうか。

 そこで、1976年から2000年の国民栄養調査に参加した、15?29歳の非妊婦・非授乳婦計30,903名の身長、体重のデータを用いて25年間の体位の変化を検討しました。対象者を15?19歳、20?24歳、25?29歳の3群に分け、調査年を5年区切りでまとめ、計5群にわけて検討を行いました。ボディマスインデックス(BMI)による体格の判定には日本肥満学会による基準を用い、BMI18.5kg/m2未満を「やせ」と判定しました。

 図に年代別に見たBMIと「やせ」の割合を25年間にわたって示しました。図に示したように、15?29歳の女性では平均BMIの有意な低下と「やせ」の割合の著しい増加が見られました。

 とくに、25?29歳の群では1976?1980年に13.5%であった「やせ」の割合が1996?2000年には23.7%と著増していました。調査期間の25年間で、すべての年代で平均身長の伸びが著しく増加していた一方で、平均体重にはほとんど変化が見られませんでした。

 なぜこのように「やせ」の女性が増加したのでしょうか。ひとつの原因として神経性食欲不振症などの摂食障害の増加が考えられます。しかし、日本における頻度は10万人当たり17?30人と推定され、米国の270人、英国の115人などに比べると低い値です。

 もうひとつの原因として考えられるのが喫煙率の上昇です。国民栄養調査の結果によれば1990年の20歳代女性の喫煙率は11.9%であったのが、2000年には20.9%とほぼ倍増し
ていました。

 今後は、なぜこのように「やせ」の女性が増加したのか、また「やせ」の女性が直面しやすい健康上の問題(貧血、月経不順など)の有無について、調査を進める必要があると考えられます。【滝本秀美】



出典:Takimoto H, Yoshiike N, Kaneda F, Yoshita K: Thinness among young Japanese women.Am J Public Health: 2004; 94(9): 1592-1595.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第3巻3号(通巻10号)平成16年12月15日発行から転載
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作成:2008/7/11 16:42:01 自動登録   更新:2009/2/3 15:12:48 自動登録   閲覧数:19924
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