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骨格筋におけるFOXO1の発現増加は筋量(赤筋)の減少をひき起こす


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 骨格筋は人体で最も大きい組織であり、エネルギー代謝、糖取込み、そして運動に重要な役割を果たす。寝たきり等により筋肉を使わない状態が続くと、筋量が減少し、骨格筋の機能が低下する(廃用性筋萎縮)。しかし、この廃用性筋萎縮の生じるメカニズムは不明である。

 FOXO1はフォークヘッド型の転写因子であり、また核内ホルモン受容体のコファクターである。我々はFOXO1がエネルギー欠乏状態のマウスの骨格筋(絶食、ストレプトゾトシンによる糖尿病)で顕著に発現増加することを見い出した。本研究では、骨格筋におけるFOXO1の役割を理解するため、骨格筋で特異的にFOXO1を生理的な範囲で過剰発現するトランスジェニックマウス(FOXO1マウス)を作成した。

 FOXO1マウスは野生型のコントロールマウスに比べ体重が少なく、骨格筋の量が減少しており、また筋肉が白色化していた(図1)。

 マイクロアレイ解析により、タイプI筋肉繊維(遅筋、赤筋)の構造蛋白に関連する遺伝子の発現が減少していることが明らかになった。

 組織染色を行なうと、FOXO1マウスの骨格筋でタイプIとタイプ蠡(速筋、白筋)の両方の繊維のサイズが小さくなり、さらにタイプI繊維の数が減少していることが観察された。

 FOXO1マウスを回転カゴに入れると自発的活動量がコントロールマウスに比べ減少していた。また、FOXO1マウスはブドウ糖経口投与後およびインスリン注射後の糖代謝能が悪化していた。すなわちFOXO1マウスは持久運動能力、耐糖能およびインスリン感受性が低下していることが示された。

 カテプシンLは骨格筋の廃用性筋萎縮の時に発現増加するリソソーム蛋白分解酵素であるが、そのカテプシンLの発現量がFOXO1マウスの骨格筋で増加していたため、蛋白分解が活発になり、骨格筋の廃用性筋萎縮が生じていることが示唆された。一方、トランスジェニックでない普通のマウスの片脚をギプス固定すると、筋量と赤筋の構造蛋白の発現量の減少と共に、FOXO1の発現誘導が認められた。

 以上の結果からFOXO1は骨格筋の量とタイプI繊維の遺伝子発現を負に制御し、そのため骨格筋の機能を損なっていることが示唆された。また、FOXO1の活性化は廃用性筋萎縮に関与することが示唆された。【亀井康富】





出典:Kamei Y, Miura S, Suzuki M, Kai Y, Mizukami J,Taniguchi T, Mochida K, Hata T, Matsuda J,Aburatani H, Nishino I, Ezaki O.Skeletal muscle FOXO1(FKHR)-transgenic mice have less skeletal muscle mass, down-regulated typeI ( slowt witch /r ed muscle)f iber genes, and impaired glycemic control. Journal of Biological Chemistry : 2004.7

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第3巻3号(通巻10号)平成16年12月15日発行から転載


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作成:2008/7/7 11:09:22 自動登録   更新:2009/2/9 9:47:17 自動登録   閲覧数:11613
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