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レジスタンス運動は中心動脈を硬くする

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 習慣的な運動は加齢による循環器病の予防や治療の重要な一要素とされている。

 ウォーキングのような習慣的な有酸素性運動は、循環器病の独立危険因子である加齢による中心動脈のスティフネス(硬化度)の増加を抑制し、運動習慣歴のない中高齢者の動脈スティフネスを改善する。これに関する重要な研究テーマとして、もう一つの運動様式であるレジスタンストレーニングが動脈スティフネスに好ましい効果を及ぼすか否かということがあげられる。

 そこでこの研究では、4ヶ月のレジスタンストレーニングが動脈スティフネスを増加させるという仮説に基づき無作為割付介入研究を実施した。この仮説の妥当性をさらに検討するためにトレーニングの後に脱トレーニング期間を定めた。脱トレ期間にトレーニング刺激がなくなることで、増加した動脈スティフネスがトレーニング前の水準に回復すると考えた。

 28名の被験者を介入群14名と対照群14名の2群に無作為に分類した。介入群は4ヶ月間のレジスタンストレーニングを実施した。トレーニングの内容は、頻度週3回、強度80%最大挙上重量、挙上回数8?12回×3セット、6種目の全身を鍛えるトレーニングであった。

 全ての介入群の被験者は、4ヶ月のトレーニング期間終了後、4ヶ月の脱トレ期間に入った。対照群は8ヶ月間の介入期間中、介入期間前と同じ生活を送った。中心動脈(頚動脈)のスティフネスを、超音波法とトノメトリーの組み合わせで測定した。

 4ヶ月のレジスタンストレーニングにより介入群の筋力は全ての種目で20?30%の有意な増加が見られた。わずか2ヶ月のレジスタンストレーニング介入により、介入群の頚動脈のスティフネスが有意に増加した。さらに2ヶ月の介入により、最初の2ヶ月ほどではないがスティフネスが増加した(図参照)。さらに、トレーニング介入後の2?4ヶ月の脱トレ期間に、介入群で増加していた頚動脈スティフネスが介入前の値に完全に戻った(図)。対照群ではこのような変化は見られなかった。

 この結果から、介入群で見られた中心動脈のスティフネスの増加は、レジスタンストレーニングに依存したものであることが確認された。

 有酸素性トレーニングが中心動脈に及ぼす好ましい効果とは対照的に、数ヶ月のレジスタンストレーニングは健康な人の中心動脈スティフネスを増加させることが示された。

 この研究の成果は、強いレジスタンストレーニングを、特に循環器病のリスクが高い人に実施させる場合には注意が必要であることを示唆している。【宮地元彦】



出典 : Miyachi et al. Unfavorable effects of resistance training on central arterial compliance : a randomized intervention study. Circulation110(18): 2858?2863, 2004

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第3巻4号(通巻11号)平成17年3月15日発行から転載


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作成:2008/7/7 10:44:07 自動登録   更新:2009/2/6 16:37:54 自動登録   閲覧数:8275
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