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ヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量との関係

?18歳の女子新入生を対象とした研究?

 “何を食べれば食欲を抑え、痩せるのだろうか?”という疑問を持ち、その解決策を知りたい思っている方は多いのではないでしょうか。

 食欲を抑制する物質としてヒスタミンが候補として挙げられています。

 最近では、必須アミノ酸の1つであるL?ヒスチジンが、ヒスタミンへ変換することにより、食物摂取を調整している可能性が示唆されています。しかし、これはあくまでも動物実験から明らかにされていることであり、ヒトを対象とし、かつ研究デザインのしっかりした方法で調べられているものは残念ながらほとんどありません。

 そこで、1997年に大学・短大・専門学校に入学した18歳の女子学生1,689名の協力を得て、ヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量との関係を調べました。

 この調査には2種類の質問票を用い、過去1か月間に食べたものと生活習慣についてたずねました。ヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量との関連を明らかにするために、重回帰分析という方法を用いました。

 ここで注意しなければならないのは、エネルギー摂取量は、性・年齢、体の大小や身体活動量によって異なってくることです(これらを交絡因子といいます)。

 そこで、これまでの研究からエネルギー摂取量と関連していることが明らかにされている交絡因子を調整(統計学的に一定条件に)し、より厳密にヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量との関連を検討することにしました。

 はじめに、単純にヒスチジンの粗摂取量とエネルギー摂取量の関連を調べたところ、有意な正の相関が認められました(グラフA、モデル1)。

 続いて、非食事性因子である身長、体重、身体活動レベル、早食いを調整したところ、ヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量は同様に有意な正の関連を示しました(モデル2)。

 さらに食事性因子として、ヒスチジン摂取量と関連性が高いと考えられるたんぱく質と他のアミノ酸の影響を除いたところ、ヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量との間に有意な負の関連が認められました(モデル3)。

 また、同じようにたんぱく質中のヒスチジンの割合と摂取エネルギーとの関連を調べたところ、同様の結果が得られました(グラフB)。

 以上の結果から、動物実験と同様にヒトにおいても食事性ヒスチジンのエネルギー摂取量調整への関与が示唆されました。

 しかし、今回の結果から注意してほしいのは、ヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量との関連というよりも、ヒトを対象とした研究では交絡要因の影響が結果を逆転させるほど大きいということです。これは動物実験とは異なり、ヒトを同一条件で調べることの難しさ所以でもあります。

 そのため、ヒトを対象とした疫学研究では、質の高い研究デザインを組みかつ交絡因子を十分に考慮することが重要であると思われます。【大久保公美、佐々木 敏】



出典:Okubo H, Sasaki S. Histidine intake may negatively correlate with energy intake in human: A cross-sectional study in Japanese female students aged 18 years. J Nutr Sci Vitaminol. 2005; 51: 329-34.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第4巻4号(通巻15号)平成18年3月15日発行から転載
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作成:2008/6/23 10:40:43 自動登録   更新:2009/2/6 11:11:48 自動登録   閲覧数:11466
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