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食事が糖尿病に及ぼす効果

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?コホート研究の系統的レビュー?

 現在、少なくとも680万人の日本人が2型糖尿病に罹患していると推定されています。糖尿病は、完全に治すことは困難な疾患であるので、どのように予防していくかが重要な健康課題といえます。多くの生活習慣が糖尿病に関係していますが、食事もその発症に重要な役割を果たしていると考えられます。

 そこで、食事と糖尿病の関連を調べたコホート研究(先に原因(ここでは、食事)を調べ、結果(ここでは、糖尿病の発症)を待つタイプの観察研究)に関する、質の高い英語論文を系統的・網羅的に収集し、現時点における科学的根拠をまとめてみました。

 論文の検索には、MEDLINE(PubMed)データベースを使用しました。

 今回用いたキーワードは、「(diet OR dietary OR nutrient OR consumption
OR intake)AND(diabetes OR diabetic)AND(prospective OR cohort OR follow-up)」でした。

 抽出された論文の中から、事前に設定した取り込み基準を満たすもののみを検討の対象としました。


取り込み基準は、

1)エンドポイントが糖尿病である、

2)追跡方法と期間、糖尿病の定義が明記されている、

3)食事が量的に(摂取頻度や摂取量のかたちで)調べられている、

4)結果が相対危険(および95%信頼区間)で示されている、

5)交絡因子が明記されている、

の5つでした。


 検索の結果、15のコホート研究(31の論文)が抽出され、15の研究のすべてが欧米で行われたものでした(米国10、フィンランド3、オランダ1、スウェーデン1)。

 対象者数(895?85,060人)、追跡期間(5.9?23年)、糖尿病発症数(74?4,085人)、食事調査方法(簡単な食品質問票、食物摂取頻度調査票、食物摂取頻度面接、食事歴法面接、24時間思い出し)、糖尿病の確認方法(質問票、経口糖負荷試験、空腹時血糖値、死亡診断書、大規模登録票)は研究によってさまざまでした。調べられた食事要因の数は99にのぼりました。

 表1に示すように、糖尿病に予防的に働くことが少なくとも2つ以上の論文で示されたものは、栄養素では、植物性脂質、多価不飽和脂肪酸、食物繊維(特に、穀物由来の繊維)、マグネシウム、およびカフェイン、食品では、穀物(特に、未精製穀物)およびコーヒーでした。

 逆に、糖尿病に促進的に働くことが複数の論文で示されたものは、栄養素では、トランス型脂肪酸、ヘム鉄、グライセミック・インデックス、およびグライセミック・ロード、食品では、肉加工品でした。

 科学的根拠に基づいた一次予防を行うためには、普通に生活するひとを対象とした科学論文の系統的収集とその効果的な活用が必要不可欠です。

 今回は、論文を検索する規則をあらかじめ設定し、もれや偏りが生じないように系統的に論文を収集・評価する、系統的レビューの方法を用いました。系統的レビューは、それを1つ読めば、その分野のことを客観的にある程度理解できるので、たいへん便利なものですが、残念ながら日本では、その有用性がまだあまり認められていません。

 今回の系統的レビューの結果、糖尿病と食事の関連を検討したコホート研究は意外に少なく、いくつかの栄養素や食品が糖尿病の発症に関連している可能性が示唆されるものの、科学的根拠としてはまだまだ弱い、ということがわかりました。さらに、今回調べられた論文のすべてが、欧米諸国のひとたちを対象としたものであるので、日本人を対象としたこの種の研究が不可欠でしょう。【村上健太郎、佐々木 敏】



出典:Murakami K, Okubo H, Sasaki S. Effect of dietary factors on incidence of type 2 diabetes: a systematic review of cohort studies. J Nutr Sci Vitaminol 2005; 51: 292-310.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第4巻4号(通巻15号)平成18年3月15日発行から転載


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作成:2008/6/23 10:29:07 自動登録   更新:2009/2/6 11:09:28 自動登録   閲覧数:7598
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