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コレステロール食を与えたラットの脂質プロフィールおよび体脂肪蓄積に対する難消化性デキストリンとジアシルグリセロール組み合わせ摂取の効果

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 現在、国内の健康食品市場には様々な生理作用を標榜した数多くの健康食品が出回わっていますが、これらの健康食品は「保健機能食品」のように機能性が科学的に証明されているものから必ずしも科学的根拠が伴わない「いわゆる健康食品」まで混在しているのが現状です。

 科学的根拠の有無に関わらず、これらの食品はキャッチコピーによる商品イメージによって購入される傾向が強く、健康食品を利用する一般消費者の中には、食品の生理機能を期待して過剰に摂取したり、類似の効果を有する食品を複数摂取するなど不適切な摂取が懸念される利用者もいます。

 これまでの食品研究では、個々の食品や食品成分の有効性などは詳細に検討されていますが、複数の機能性食品素材の組み合わせによる生理効果や安全性に関する検討はこれまでほとんど行われていません。

 今回我々は、生理機能が科学的に証明されている機能性食品素材の組み合わせ摂取が生活習慣病リスク因子である脂質プロフィールおよび体脂肪蓄積に及ぼす影響について検討を行いました。

 実験は、肥満や血清脂質濃度に対する有効性が知られている「ジアシルグリセロール」とお腹の調子を整える機能を有し脂質濃度に影響を及ぼす可能性がある「難消化性デキストリン」の2種類を組み合わせ、コレステロールを含む高脂肪食条件でラットに28日間摂取させて行われました。

 その結果、難消化性デキストリンの摂取は血清トリグリセリド濃度を有意に低下し、腸管内における食物繊維の働きを推定する小腸絨毛高に対してもその高さを有意に増加するなど食物繊維の機能性が観察されました。

 一方、ジアシルグリセロールの摂取は、善玉コレステロールである血清HDL?コレステロール濃度を有意に減少し肝臓コレステロールとトリグリセリド濃度の有意な上昇による肝臓脂肪の蓄積が認められました。

 今回の実験条件ではジアシルグリセロールの生理作用は明確に示されませんでした。

 これらの結果より、難消化性デキストリンは高脂肪食条件においてラット血清トリグリセリド濃度を低下することが明らかになりましたが、実験に用いた2種類の機能性食品素材の組み合わせ摂取による相加的あるいは相乗的な生理効果は認められませんでした。

 この様に今回の実験から、類似の効果が期待される機能性素材であっても食事条件によっては必ずしも併用摂取が効果的に作用しないことが明らかとなりました。

 我々の身の回りにある様々な機能性食品を適正かつ安全に利用して生活習慣病予防や改善に役立たせるため、今後も様々な食事条件や異なる機能性食品素材の組み合わせなどに関する検討を行い、効率的な利用に関する情報を収集する必要があると考えられます。【永田純一】



出典:Nagata J., Saito M.: Effects of simultaneous intakes of indigestible dextrin and diacylglycerol on lipid profiles in rats fed cholesterol diets. Nutrition 22; 395-400: 2006.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第5巻2号(通巻17号)平成18年9月15日発行から転載


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作成:2008/6/19 11:31:28 自動登録   更新:2009/2/6 10:17:00 自動登録   閲覧数:8406
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