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レジスタンス(筋力)トレーニングと動脈コンプライアンス
?“効果”を維持し“硬化”を最小限に?

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 頸動脈に代表される中心動脈コンプライアンスの低下は循環器疾患発症の独立した危険因子である。

 有酸素性トレーニングは頸動脈コンプライアンスを増加させることが良く知られている。それとは対照的に、高強度の筋力トレーニングは頸動脈コンプライアンスを低下させることが我々の研究により近年明らかとなった。

 一方で、筋力トレーニングは、加齢に伴うサルコペニア(筋力減弱症)を予防し介護リスクを著しく減少させることから、様々な学会のガイドラインにおいてその実施が推奨されている。したがって、循環器疾患リスクとしての頸動脈コンプライアンス低下を誘発しない筋力トレーニングの実施方法を検討することは有意義である。

 そのための戦略として二つの方向性が考えられた。一つは、血圧の上昇が比較的少ない中強度の筋力トレーニングを用いること。もう一つは頸動脈コンプライアンスを増加させる効果がある有酸素性運動を高強度筋力トレーニングとともに行なうコンバインドトレーニングを用いることである。

 そこで本研究では、中強度筋トレとコンバインドトレーニングが頸動脈コンプライアンスに及ぼす影響を縦断的に検討した。

 39名の健康な成年男子が本研究に参加した。彼らは、中強度筋トレ(6種目、50%1RM、16回、3セット)を4ヶ月間、週3回、実施する群、コンバインドトレーニング(6種目、80%1RM、10回、3セット+60%HRmaxのジョギング30分)を4ヶ月、週3回実施する群、運動介入を受けない群の3群に無作為に割り付けられた。

 4ヶ月の介入期間の後に、運動介入効果を確認するために4ヶ月の脱トレ期間を置いた。

 4ヶ月の中強度筋トレは、我々の先行研究の高強度筋トレと同程度に、有意に頸動脈コンプライアンスを低下させた(P<0.05、図参照)。

 しかし、4ヶ月のコンバインドトレーニングでは、頸動脈コンプライアンスを増加させる傾向が見られた(P=0.06、図参照)。

 さらに、4ヶ月のトレーニング後の4ヶ月の脱トレ期間中に、両群の頸動脈コンプライアンスは介入開始前の水準に完全に戻った。

 対照群では8ヶ月の期間中これらのような頸動脈コンプライアンスの変化は見られなかった。さらに全ての群で、末梢動脈である大腿動脈のコンプライアンスの変化は見られなかった。


 以上の結果から、有酸素性トレーニングを同時に行なうことで、高強度筋トレに伴う頸動脈コンプライアンスの低下を抑制することが可能であることが示唆された。

 有酸素性トレーニングによる内皮機能の改善や酸化ストレスを低下させる効果が、筋トレにより誘発される頸動脈コンンプライアンス低下に代償的に働いたものと推測される。

 本研究の結果から、介護や生活習慣病予防を目的とした運動を指導する際に、筋トレのみを指導するよりも、有酸素性トレーニングと筋トレをバランスよく実施することが重要であることが示唆された。【宮地元彦】



出典:Kawano H, Tanaka H, Miyachi M.: Resistance training and arterial compliance: keeping the benefits while minimizing the stiffening. J Hypertension. 2006, 24(9): 1753?1759.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第5巻3号(通巻18号)平成18年12月15日発行から転載


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作成:2008/6/19 10:01:48 自動登録   更新:2009/2/6 10:01:12 自動登録   閲覧数:17259
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