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加齢が局所筋量で補正した換気閾値や最高酸素摂取量に及ぼす影響

?20?80歳の日本人男女を対象とした横断研究?


〈背景と目的〉
 換気性作業閾値(VT)は、全身持久力の指標としても、健康づくりのための運動プログラム作成の際に必須である運動強度の指標としても有用である。しかし、加齢によるVTの低下については十分な研究がなされていない。

 本研究の目的は、20歳から80歳の日本人男女1,463名を対象にVTの参照値を示し、骨格筋量の標準化を含めた加齢によるVTの低下について報告することである。


〈方法〉
 被験者は、都内フィットネスクラブに所属する健康な男女1,463名(男性807名、女性656名、20?80歳、平均年齢49.3±13.5歳)とした。

 骨格筋量はBモード超音波法を用い、Sanadaらの式を用いて推定した。VTおよび最高酸素摂取量推定値(VO2peak)の測定は、Breath by breath法を用いた。

 測定のための運動はトレッドミル上での歩行とし、プロトコルは漸増負荷法(3分間のW-up後、1分毎に速度と傾斜を交互に漸増)を用いた。

 VO2peakは、運動負荷中の心拍数とVO2の直線回帰式と推定最大心拍数(220?年齢)によって推定し、VTは、運動負荷中のVO2の増加に対してVCO2が急激に増加するポイント、もしくはVE/VCO2が不変でVE/VO2が上昇するポイントとした。


〈結果と考察〉
 全身および局所(体幹部、大腿部)骨格筋量は、男女とも年齢との間に有意な負の相関が認められた(全身骨格筋量は男性が年間0.13kg、女性が0.02kg減少し、大腿部骨格筋量は男性が年間0.052kg、女性が0.014kg減少した)。

 VTは、男女とも体重や除脂肪体重との間には有意な相関は得られなかったが、大腿部骨格筋量との間には有意な正の相関が認められた。

 本研究で最も重要な結果は、体重あたりのVTは男女とも有意な加齢低下が観察されたが、骨格筋量あたりではその低下が認められなかったことである(表参照)。

 対照的にVO2peakでは、体重あたりでも除脂肪体重あたりでもともに加齢低下が観察された。この結果は、同じ全身持久力の指標であるVO2peakと比較して、VTは骨格筋量により深く関連しており、その加齢低下の大部分は骨格筋量の低下により強く影響されることを示唆している。


〈結論〉
 本研究の結果から、日本人のVTすなわち全身持久力の性年代別の値を提示することができた。また、加齢に伴うVTすなわち全身持久力の低下を予防するためには、加齢による骨格筋量の低下を予防することが重要であると考えられる。【宮地元彦】



出典:Sanada K, Kuchiki T, Miyachi M, McGrath K, Higuchi M and Ebashi H. Effects of Age on Ventilatory Threshold and Peak Oxygen Uptake Normalised for Regional Skeletal Muscle Mass in Japanese Men and Women Aged 20-80 yrs. Eur J Appl Physiol. 2007; 99(5):475-83.

注)本研究は、筆者が客員教授を勤める早稲田大学生命医工研の真田樹義講師との共同研究です。

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第5巻4号(通巻19号)平成19年3月15日発行から転載
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作成:2008/6/16 15:24:47 自動登録   更新:2009/2/5 15:04:31 自動登録   閲覧数:13368
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