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年齢が若く、BMIが高いひとはエネルギー摂取量を少なく申告する

?30-60歳代の一般住民を対象とした16日間の食事記録より?


 食事調査をすると、実際の摂取量よりも少なく申告したり、逆に多く見積もって申告したりする「申告誤差」がしばしばみられます。

 これは、栄養士を悩ます問題のひとつです。

 このような「申告精度」に関する報告はもっぱら欧米からであり、日本人を対象とした研究報告はまだ少ないのが現状です。

 そこで、日本人を対象とし、実際に食べたものを忠実に把握することができると考えられている食事記録から得られる摂取エネルギーの申告状況を調べ、申告誤差が生じやすい集団の特徴について検討しました。

 この調査は、鳥取、大阪、長野の3地域の健康な一般住民のうち30?60歳代の原則として夫婦である183名の協力を得て実施しました。2002年11月から3か月ごとに4日間の秤量食事記録を4回、合計16日間実施しました。

 摂取エネルギーの申告量が妥当であるかは、摂取エネルギー(EI:Energy intake)と基礎代謝(BMR:Basal metabolic rate)の比率(EI:BMR)から評価しました。EI:BMR値が低いほど基礎代謝量に対する摂取エネルギーの申告量が少ない、つまり過小申告している可能性が高いことをあらわしています。

 はじめに、性・年齢階級別にEI:BMR値を検討したところ、男女とも若年群(30?39歳)ほどEI:BMR値が小さく、高齢(60歳以上)になるに従いEI:BMR値が高い傾向が認められました(男性:1.37 vs 1.74、女性:1.43 vs1.65)。

 続いて、申告精度(EI:BMR)に及ぼす要因を検討するために重回帰分析のステップワイズ法を用いて解析したところ、男女ともに年齢は有意な正の関連を示し、一方BMIは有意な負の関連を示しました。

 そこで、年齢とBMIを組み合わせ、申告誤差の生じやすい集団の特徴について視覚的に表したのが図1です。

 X軸にBMIを3分位に分類し、Y軸には50歳未満または以上で分類した年齢を、そしてZ軸にはEI:BMR値を示しました。そして、BMIが最も低く、年齢の高い群を基準にしたところ、年齢が若く、BMIが高くになるにつれ、有意にEI:BMRが低値を示しました。女性でも同様の傾向を示しました(図2)。

 この結果から、申告誤差を生じやすい集団の特徴として、年齢が若く、BMIが高い人ほど過小申告しやすい傾向が認められ
ました。

 今回の調査対象者は、比較的健康意識の高い集団である可能性が考えられ、今回の結果がすべての日本人に該当するとは言えません。

 しかし、BMIが高い人や年齢の若い人の栄養アセスメントを行う際に、過小申告の可能性があり得ることを知っておく必要があるのはないかと考えられます。【大久保公美、佐々木 敏】






出典:Okubo H, Sasaki S, N Hirota, A Notsu, H Todoriki, A Miura, M Fukui, C Date. The influence of age and body mass index to relative accuracy of energy intake among Japanese adults.Public Health Nutr 2006: 9: 651-7.

「本研究は、伊達ちぐさ先生(奈良女子大)、福井充先生(大阪市立大)、広田直子先生(松本大)、野津あき子先生(鳥取短大)、三浦綾子先生(浜松大)、等々力英美先生(琉球大)との共同研究である。」

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第5巻4号(通巻19号)平成19年3月15日発行から転載
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作成:2008/6/16 13:49:59 自動登録   更新:2009/2/5 14:59:31 自動登録   閲覧数:9734
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