Welcome GUEST
重要なお知らせ
現在リニューアル中のため、これは閲覧のみの旧バージョンです。質問や検索はできませんのでご注意下さい。
トップ  >  研究紹介  >  栄養疫学研究のための調査フィールド
栄養疫学研究のための調査フィールド

【はじめに】
 疫学は、ヒトの集団を対象とした学問であり、それぞれの研究目的に合致した対象集団を決定する、という作業が非常に重要になります。医学の臨床の現場でももちろん疫学調査は行われますが、
本研究所のように健康の維持・疾病予防を中心とした研究を行う場合は、職場・地域といった日常の場であるフィールドを設定して調査研究を行うこととなります。
疫学研究、なかでも介入試験や長期間の追跡を必要とするコホート研究では、健康な人の集団である調査フィールドを、どのように決定して維持していくかが、大きなポイントです。

【長野県における調査フィールドの設定とコホートの構築】
 栄養疫学研究部では、2006年より栄養教育研究部、健康増進研究部などと協力して、長野県で、佐久総合病院人間ドックをフィールドとした調査研究を進めてきました。
主な研究目的は、生活習慣病、メタボリックシンドロームやそれに引き続く糖尿病などに関連する、食事や日常生活活動、既往歴や家族歴、性格や遺伝子多型、また現在の臨床所見などを分析し、どのような栄養・運動がこれらの疾病予防・健康維持に寄与するかを、明らかにすることです。当該ドック受診者を対象として決定した理由は、
?佐久総合病院は、戦後すぐより周辺の農村地域の健康教育・健康管理といった地域での保健活動を実施しており、周辺地域住民を含め健康意識が非常に高い地域であること、
?これまでにも、厚生労働省の多目的コホートなどの対象となっており、疫学調査研究に理解や協力が得られやすいこと、
?ドックの受診者は毎年8000人程度であるが、リピーターが多く継続的な追跡が比較的簡易である上、過去の検診データの把握も可能であること、などがあげられます。

 2006年からは、特定健診・保健指導の開始を見据えて、肥満者を対象として、240人に対し無作為割り付けをしてクロスオーバー法で介入研究を実施しました(SCOP Study)。
1年間の医師、栄養士、健康指導士等によるチームでの介入によ
り、5kg程度の減量効果とメタボリックシンドロームリスクなどの改善が見られ、その後2年間の追跡を行っています(図1)。

 2009年からは、対象を人間ドック受診者全体に拡げ、レトロスペクティブ、プロスペクティブにメタボリックリスクや糖尿病などの発症、増悪要因の解析をするべく、コホートの構築を始め、現在3000人強の参加登録者を得ています(図2)。

【おわりに】
 本研究のフイールドでは、参加者個人への結果報告や健康相談のみでなく、地域の人達が参加できる、人間ドック大会や病院で開催される夏期大学でも、これらの研究成果を報告しています。地域で
の理解も得られ、今後も良好な関係を継続して、当研究所の疫学フィールドとして地域の健康増進に役立つ調査研究を続けられれば、と考えています。





関連研究論文
1) Tanaka T, Morita A, et al.: Congener-specifi c
polychlorinated biphenyls and the prevalence
of diabetes in the Saku Control Obesity Program.
Endocrine Journal 2011( in press).
2) Morita A, Ohmori Y, et al.: Anthropometric
and Clinical Findings in Obese Japanese: The
Saku Control Obesity Program (SCOP). Anti-
Aging Med. 5( 1) : 13-16, 2008.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第10巻1号(通巻36号)平成23年6月15日発行から転載
プリンタ用画面
友達に伝える
投票数:5 平均点:4.00
作成:2011/7/14 17:09:01 自動登録   更新:2011/7/14 17:18:26 自動登録   閲覧数:7645
前
骨格筋インスリン抵抗性における新しい調節メカニズムの解明
カテゴリートップ
研究紹介
次
食品機能研究室が取り組んでいる機能性食品の利用に関する研究について

メインメニュー