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避難生活を少しでも元気に過ごすために?栄養・食生活の視点から?

 2011年3月11日に東日本大震災(地震[M9.0]・大津波)が起こりました。被災沿岸地域は壊滅状態となり、死亡者・行方不明者が2万5千人を超えています。震災後2ヶ月以上経た時点でも、自衛隊員、消防団員、警察官などの方々が、行方不明者の捜索に当たっています。科学・文明を過信し、想定外という名のもとの人災が加わった福島第一原発事故が起こり、まさに未曾有の災害です。

 東日本大震災で逝去された方々のご冥福を心よりお祈りいたします。また、被災された皆様に心より、お見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を祈念いたします。

 被災者支援のキーワードは「医職住育」とされますが、「食」を加えて「医食職住育」だと思われます。
 その対応はフェイズで異なります。生命が第一なので、初期には医療です。大震災後2ヶ月を経過し、フェイズは中期・長期に移り、被災者(特に、高齢者、妊産婦、乳幼児・小児、寝たきりの
方、障がい者、アレルギーのある方など)の食職住育への配慮が必要です。
 被災地では、食事、身体活動・運動、睡眠・休息、メンタルストレス、排泄、喫煙、飲酒、職業などの生活環境要因に加え、感染症(呼吸器感染症、食中毒、破傷風など)、粉じん吸入が健康に関連しています。なかでも、食は生命と健康の維持に必須であり、エネルギーおよび栄養源であり、生体調節機能があり重要です。また、適度な身体活動・運動は、生活不活発病、エコノミークラス症候群の予防だけでなく、ストレス解消に有効です。

 厚生労働省は、エネルギー、たんぱく質、ビタミン(B1、B2、C)の摂取不足、アンバランスの観点から、4月下旬に「避難所における食事提供の計画・評価のために当面の目標とする栄養の参照量について」を発出し、生活支援ニュースを発行しています。
参照量は、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で示されたエネルギーおよび当該栄養素の摂取基準値を、性・年齢階級別人口構成(平成17年国勢調査結果)で重みづけした加重平均です。なお、エネルギーは身体活動レベル?および?の中間値を用いています。

 (独)国立健康・栄養研究所は、厚生労働省、日本栄養士会と連携して、避難生活向けリーフレット、災害時の栄養・食生活支援マニュアルを被災者および専門職に向け、「災害時の
健康・栄養について」の情報発信をしています。

いずれも、当研究所ホームページ(図)で閲覧できます。さらに、私どもは、被災者の健康・栄養支援のために、震災被災者健康・栄養調査研究プロジェクトチームを立ち上げ活動を始めています。
 徐々に交通網、物資・物流が整備され、食料供給が回復しつつありますが、避難所格差がみられます。いまだにインスタント食品、炭水化物中心で、野菜・果物などが不足し、たんぱく質、ビタミン・ミネラル摂取不足があり、一方、食塩の過剰摂取が懸念されます。そのような避難所では、
強化米、野菜ジュース、ビタミン剤などを活用し
たいものです。ライフラインが復旧せず、衛生状
態が悪いところでは、特に、気温が上昇する今後
は、食中毒予防など食の安全対策を忘れてはなり
ません。なお、水分は可能な限り十分に摂取すべ
きでしょう。
 私どもは健康・栄養支援をとおして、被災者の
QOL(生命の質、生活の質、人生の質)の向上に
奉仕したいと考えます。

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第10巻1号(通巻36号)平成23年6月15日発行から転載

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作成:2011/7/14 16:11:45 自動登録   閲覧数:5174
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