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トップ  >  研究紹介  >  プロジェクト紹介  >  プロジェクト紹介:食品保健機能プログラム補完成分プロジェクト
今、補完成分プロジェクトでは 

 通常、病院で保険医療として行われている医療は、科学的に検証された現代西洋医学に基づいた医療ですが、それら以外に関しては、西洋医学を補うという意味から補完医学、あるいは代わりになるという意味から代替医学といった言葉がよく用いられ、合わせて補完代替医学と称されています。

 補完代替医療には伝統・民族療法や免疫療法(リンパ球療法など)、薬効食品・健康食品(抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など)、ハーブ療法、アロマセラピー、食事療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法、等々多くの療法を含みます。日本の現状では、補完代替医療には食品由来の機能性
成分がよく用いられますが、多くの場合、その効果について科学的に未検証です。従って、各成分について効果や安全性を科学的に検証した上で、臨床応用することが求められています。

 これらの背景に基づき、本プロジェクトでは将来の食品由来の機能性成分の補完代替医療への応用を念頭に置き、以下の研究課題を中心に研究を進めています。

 現在市場に出回りつつあるサプリメント成分の1つとしてトコトリエノールがありますが、トコトリエノールはビタミンEの一種で、強い抗酸化作用以外に抗酸化作用に依存しない多様な生理活性を持ち、慢性疾患の予防・治療に有効とされてきました。

 しかしながら、トコトリエノールの生体内での不安定さのために、実際の生体内濃度は有効性が期待されるレベルまで到達しないことが多く、臨床応用へのネックになっていました。

 本プロジェクトでは、トコトリエノールの安定化(誘導体化と包接化)をはかることで、生体内でトコトリエノールの生理活性を生かす試みを行なってきました。実際にトコトリエノールの安定化(誘導体化)がトコトリエノールの持つ生理活性の一部を強化できることを確認しています(Bicohem Biophys Res Commun. 2008;365:875-881)。

 現在は、他の大学や研究施設と協力してトコトリエノール包接体の生体内動態、各臓器での機能性評価、代表的な病態モデルを用いた慢性疾患の予防・治療の可能性の検証および作用機序の解析等を多角的に進めており、最終的にトコトリエノール包接体が予防・治療に有効と思われる慢性疾患を絞り込む予定です。

 大豆の中には、多くの慢性疾患の予防・治療に有効な機能性成分が含まれていますが、本プロジェクトでは現在サプリメント成分として未利用で、大豆に多く含まれ、生体内で安定で、有効性が期待でき、安全性にも問題がないという基準で、新たな機能性成分をスクリーニングしたところ、タンパク分解酵素阻害成分であるBowman-Birk protease inhibitor(BBI)をリストアップしました。

 BBIは以前から優れた抗がん活性を持っていることが知られていましたが、その作用機構は不明でした。しかし、我々のグループでBBIの持つ抗がん作用機構の一部を明らかにし、抗がん成分としてのBBIの性質を特定することができました(Cancer Lett 2007;253:249-257)。

 また、BBIには優れた抗炎症作用があり、いくつかの人の自己免疫疾患の予防・治療に有効という報告がなされました。今後、他の大学と協力して、いくつかの病態モデルを用いて、BBIの慢性疾患の予防・治療における有効性を評価していく予定です。【矢野友啓】



ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻2号(通巻25号)平成20年9月15日発行から転載
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作成:2008/10/2 16:36:38 自動登録   更新:2009/2/10 14:00:59 自動登録   閲覧数:3563
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