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プロスタグランジンE2 は肺がんの発生を増強する

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 日本の食事の西洋化に伴う脂肪摂取の増加が大腸がんの増加に関係していることが推測されています。

 その一方で、抗炎症剤であるアスピリンが大腸がんの予防に有効であるという報告が行われて以来、プロスタグランジンの主要合成酵素であるサイクロオキシゲナーゼー2 (Cox-2) の誘導によるアラキドン酸から合成されるプロスタグランジン類(特PGE2)の産出増加が大腸発がんにつながるということが明らかにされてきました。

 また、肺がんの中でも、最近増加傾向にあり、発がん因子として喫煙よりむしろ食事性因子が疑われている肺腺がんにおいても、肺腺がん組織においてCox-2 の誘導と産出されたPGE2 レベルの増加が認められ、PGE2 が肺腺がんの増殖因子として働いていることが推測されています。

 本研究では、なぜPGE2 が肺腺がんの増殖因子として働いているのかということを、肺腺がん細胞と肺腺がんの発生母体細胞となる正常肺胞上皮系細胞を用いて、詳しく解析しました。PGE2 が細胞の増殖因子として働くためには、PGE2 が特異的な受容体に結合し、その受容体にリンクした増殖に必要なシグナルを活性化する必要がありますが、我々は肺腺がんと発生母体細胞との間にPGE2 が結合する受容体に違いがあることを見いだしました。

 そして、肺腺がん細胞はその受容体を介して、PGE2 からのシグナルによって発がん遺伝子であるras 遺伝子が関与しているシグナルの活性化を増強することによって、増殖を刺激していることが判明しました。

 肺腺がんにとって、rasシグナル系の活性化は癌の悪性度と密接に関係しているので、PGE2 によるras シグナル系の活性化は肺腺がんの悪性度を規定する重要な因子と言えます。

 本研究の結果から、PGE2 の産出を抑制するような食事面のコントロールが肺腺がんの発生予防に有効であることが推測されます。さらに、肺腺がんに認められるPGE2 が結合する受容体の活性を阻害する食品機能成分が肺腺がんの発生予防に有効と予測され、今後このような機能成分の特定が望まれます。

 なお、本研究はドイツボルステル医療センター研究所との国際共同研究として行われました。



出典: Prostaglandin E2 reinforces the activation of Ras signal pathway in lung adenocarcinoma cells via EP3. Yano T, Zissel G, Muller-Qernheim J,Shin SJ, Satoh H, Ichikawa T. FEBS Letters 518,154-158, 2002.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第1巻3号(通巻3号)平成15年3月25日発行から転載


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作成:2008/7/17 16:39:02 自動登録   更新:2009/2/9 14:47:31 自動登録   閲覧数:7305
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