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安全性及び有効性の視点から見たドコサヘキサエン酸の適正摂取量の評価

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n?3系脂肪酸(EPAあるいはDHA)と中鎖脂肪酸を含む新規構造油脂の機能性

 N-3系脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA) やドコサヘキサエン酸(DHA) による循環器疾患の予防効果に関しては、今では、周知の事実と考えられるまでに至っています。

 しかし、反面、これらの高度不飽和脂肪酸は非常に酸化を受け易い化学構造であることから、油そのものとしての酸化はいうに及ばず、体内に摂取されてからも酸化を受けて過酸化脂質・フリーラジカルを生成し易い性質も併せ持っていて、いわゆるフリーラジカル病と呼ばれる一連の疾病、例えば動脈硬化・糖尿病・がん等への関わりが懸念されます。生理的有効性が重視されるあまり、可能性のある有害性については大目に見られがちなのです。EPA/DHAサプリメントの摂取が日常的になっている今日、安全性の視点はますます大切になってきています。

 そこで本研究では、1年齢の成熟ラットに純度が83%と非常に高いDHAエチルエステルを飼料中0、1.0、3.1、8.4エネルギー%となるように調製して1ヶ月間投与し、安全性の視点からは過酸化脂質・フリーラジカルの生成と抗酸化物質の変化について検討し、生理的有効性の視点からは脂質代謝の改善効果について検討しました。

 その結果、脂質代謝の改善効果はDHAの投与レベルに対して投与量依存的に観察されましたが、過酸化脂質・フリーラジカルの生成とビタミンEの減少は、3.1エネルギー%以上で観察されました。このことから、脂質代謝の改善効果による有効性と、過酸化脂質・フリーラジカルの生成及びビタミンEの減少を抑制する有害性の防止の両面を満足するDHAの適正摂取レベルは3エネルギー%以下と推測できます。

 従来、こうした研究は、著者らが実施した研究も含めて、幼若ラットを用いて検討されてきていますが、サプリメントでの多量摂取を想定すると、むしろ成熟ラットでの検討が適切であると考えて実施しました。

 事実、成熟ラットの方がDHAの投与に対する感受性は低く、高レベルの投与でレスポンスする結果となりました。この3エネルギー%がどの位の摂取量になるかを、仮に、2,000kcal/dのエネルギー摂取レベルから計算すると脂肪酸量として約6g/dとなります。この結果も加味し、既に、ヒトでの検討も含めたn-3系多価不飽和脂肪酸の安全性評価について検討し、総説として報告しました(斎藤衛郎、栄養学雑誌、59、1-18、2001)。そこでは、EPA/DHA混合物の許容上限摂取量として4g/d程度と推定出来ました。国民栄養調査から計算した、現状でのEAP/DHA混合物の摂取量はほぼ0.9g/d ですので、サプリメントからの摂取量は3g/d程度に抑えておけば安全性上問題はなさそうです。

 ちなみに、冠動脈性心疾患の予防効果が得られる最小量はEPA/DHAとして0.45g/d 程度と筆者は考えています(前出、栄養学雑誌)。



出典:An assessment of docosahexaenoic acid intake from the viewpoint of safety and physiological efficacy in matured rats. Saito, M. Kubo, K.: Annals of Nutrition and Metabolism: 46: 176-181, 2002

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第1巻3号(通巻3号)平成15年3月25日発行から転載
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作成:2008/7/17 16:46:20 自動登録   更新:2009/2/9 14:55:43 自動登録   閲覧数:5477
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