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トップ  >  研究紹介  >  魚油摂取で肝臓での蛋白分解による活性化を抑制
低濃度の魚油摂取は肝臓でのSREBP-1の蛋白分解による活性化を抑制し、高濃度の魚油摂取はSREBP-1の発現量を抑制する

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 魚は体によいといわれています。魚を食べると虚血性心疾患や脳卒中などの生活習慣病の予防に役立つことが知られていますが、魚を食べるとどうしてそのような効果を示すのでしょうか。

 脂肪は悪者とみなされがちですが、体にとっては必要なものです。ですから、体内での脂肪の量はある程度一定に保たれるようにできています。脂肪の量が減ってきたと体が感知したら脂肪の量を増やすように動きます。それにはまず、脂肪を合成する酵素を作るようになりますが、そのために必要なものが『転写因子』とよばれるものです。

 私たちの体の中で起こっている様々な反応はすべて化学反応で行われています。化学反応を行うには酵素が必要になります。脂肪合成に必要な転写因子が働くと、脂肪の合成を行う酵素が合成され、脂肪がつくられていきます。

 魚油を摂取することにより、脂肪合成に必要な転写因子(SREBP?1c)の量が減少することが知られていました。本研究では、魚油の摂取量を10?60en%(脂肪エネルギー比)に変えてマウスに摂取させ、日常の魚油摂取量でもSREBP?1cの減少が認められるか調べるとともに、その機序を推定しました。

 今まで、多価不飽和脂肪酸によるSREBP?1c量の低下作用はメッセンジャーRNAレベルでの調節が主であると考えられていましたが、筆者らのこれまでの研究結果により、魚油の日常の魚油摂取可能量での肝臓でのSREBP?1c量の調節は、メッセンジャーRNAレベルではなく「SREBP?1cの蛋白の活性化を抑制(SREBP?1cが転写因子として働ける量が減少)することにより脂肪の合成を減少させている」ことが明らかになりました。

 このように、摂取する食べ物によって生体内の代謝が変化します。それはこのように私たちの体の中で転写因子の量を変化させるなど、遺伝子の発現レベルにおいて非常に精巧に調節されているためです。

 日ごろの食生活を少し見直すと、脂肪肝や動脈硬化症などの生活習慣病の予防が可能になるといえるでしょう。【仲谷照代】



出典:A low fish oil inhibits SREBP?1 proteolyticcascade, while a high?fish?oil feeding decreasesSREBP?1 mRNAi n micel iver:relationshipt o anti?obesity. Nakatani T, Kim H?J, Kaburagi Y,Yasuda K, Ezaki O:J.Lipid. Res.:44(2):369?379, 2003.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻2号(通巻5号)平成15年9月15日発行から転載


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作成:2008/7/17 11:20:05 自動登録   更新:2009/2/9 11:27:23 自動登録   閲覧数:4830
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