Welcome GUEST
重要なお知らせ
現在リニューアル中のため、これは閲覧のみの旧バージョンです。質問や検索はできませんのでご注意下さい。
トップ  >  研究紹介  >  生活習慣病改善効果が期待される機能性構造油脂の開発
生活習慣病改善効果が期待される機能性構造油脂の開発

■関連リンク(こちらもご参考にどうぞ)■
コレステロール食を与えたラットの脂質プロフィールおよび体脂肪蓄積に対する難消化性デキストリンとジアシルグリセロール組み合わせ摂取の効果

 構造油脂は聞きなれない油ですが、我々の食生活に身近な油脂となりつつある油です。一般的に油脂は、3つの脂肪酸がグリセロールに結合した構造をとります。消化酵素の働きによりグリセロールの1位と3位に付いた脂肪酸が加水分解され、モノグリセロールと2つの脂肪酸が形成されます。これらの生理特性を利用し、機能性に富む脂肪酸を効果的に生体内に取り込ませ、油脂の生理効果を増した油が構造油脂です。

 現在、構造油脂(あるいは構造脂質)は、任意の脂肪酸をグリセロールの任意の位置に結合させ、脂肪酸の持つ機能性を最大限に発揮させる構造にした油脂や、脂肪酸の結合部位と脂肪酸の数を工夫し吸収に特徴を持つ構造に加工したものがあります。代表的な構造油脂として食用油脂であるジアシルグリセロールや中鎖脂肪酸と食用油脂から合成された油脂などが市場に出回っています。

 我々は今回、中鎖脂肪酸であるカプリル酸(C8:0)あるいはカプリン酸(C10:0)のいずれかを含みリノール酸と組み合わせた構造特異性に富む4種類の新規構造油脂を消化酵素リパーゼを用いて合成しました。

 液体クロマトグラフを用いて分取分画を行い、高純度構造脂質を得ました。これらの構造脂質のラット血清及び肝臓資質濃度に及ぼす中鎖脂肪酸(M)およびリノール酸(L)含有高純度構造油脂の影響を調べました。

 またブタ膵液を用いた構造脂質の加水分解実験も試験管内で行い、これら油脂の消化特性を従来の食用油脂と比較検討しました。

 M?L?Mタイプ(グリセロールの1位と3位に中鎖脂肪酸、2位にリノール酸を配した)構造油脂の加水分解速度は、L?M?L(グリセロールの1位と3位にリノール酸、2位に中鎖脂肪酸を配した)タイプより約2?3倍高い分解速度を示しました。

 また、重量比10%で各構造油脂を含む食餌を4週間ラットに与えた実験では、成長および食餌効率に関して従来の食用油脂であるコーン油と有意な差を認めませんでした。L?8?L、10?L?10およびL?10?L群の血清コレステロール濃度は、コーン油群と比較して有意に低い値を示しました。血清トリアシルグリセロール濃度は、L?M?L群は他の群と比較して有意に低い値を示しました。血清非エステル化脂肪酸(NEFA)およ
びβ?ヒドロキシ酪酸濃度は、M?L?M構造油脂で有意に高い値を示しました。

 これらの結果より、L?M?Lタイプの高純度構造油脂の摂取は、ラット血清および肝臓脂質プロフィールの改善に効果的に作用しました。またM?L?Mタイプ構造油脂は消化酵素に対し高い親和性を示し、エネルギー基質および必須脂肪酸の供給に優れた機能性を有する構造油脂であることが明らかになりました。

 油脂の生理学的有効性は、脂肪酸による効果だけでなく、油本来の構造であるトリグリセリド構造にも影響される可能性を示唆するものと考えられます。よって今後、様々な機能性脂肪酸の組み合わせによる生活習慣病の予防あるいは改善を目指した構造油脂の開発が期待されます。【永田純一】



出典:Effects of highly purified structured lipids containing medium-chain fatty acids and linoleic acid onl ipid profilesi nr ats. Nagata J, Kasai M, Watanabe S, IkedaI, Saito M. Biosci Biotechnol Biochem 67, 1937-1943, 2003.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻4号(通巻7号)平成16年3月15日発行から転載
プリンタ用画面
友達に伝える
投票数:10 平均点:3.00
作成:2008/7/14 15:00:01 自動登録   更新:2009/2/9 11:02:42 自動登録   閲覧数:6875
前
どのくらい運動したら、高血圧が改善できるんだろう?
カテゴリートップ
研究紹介
次
体脂肪になりにくい油って本当?

メインメニュー