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レジスタンストレーニング実施者における加齢による脚血流量の減少の抑制

■関連リンク(こちらもご参考にどうぞ)■
○筋発揮張力維持法を用いたレジスタンストレーニング(スロートレーニング)の筋肥大・筋力増強効果に関する研究
○レジスタンス運動は中心動脈を硬くする

<背景と目的>
 安静時における脚への血流量の減少は、メタボリックシンドロームの発症や生活機能の低下に関連しています。また、脚の血流量は加齢により減少します。

 習慣的な身体活動は循環器疾患や生活機能低下の予防に有用ですが、習慣的な有酸素性運動を行っても、加齢による筋血流量の減少を予防できないと報告されています。

 もう一つの運動形態であるレジスタンストレーニングは高齢者のサルコペニア(廃用性筋萎縮)やADL(日常生活の遂行能力)の低下を予防する効果があります。

 そこで、我々は、習慣的にレジスタンストレーニングを実施している人では、加齢による安静時脚血流量の減少がない、もしくは抑制されていると仮説を立てました。


<方法>
 20-34歳の若者と35-65歳の中年者の合計104名が本研究に参加しました。彼らの半数は、少なくとも過去2年以上にわたり習慣的なレジスタンストレーニングを実施していました(レジスタンストレーニング群)。残りの半数は習慣的な運動習慣のない者でした(対照群)。

 全ての被験者は、高血圧症、喫煙習慣、糖尿病がなく健康でした。

 総大腿動脈の内径と血流速度を超音波エコードップラー法で測定し、脚血流量を求めました。


<結果>
 対照群では中年者の安静脚血流量(?30%)と脚血管コンダクタンス(?38%)は若者よりも30-40%有意に低い値でした。レジスタンストレーニング群ではこのような若者と中年者の間の差は見られませんでした。

 若者では、対照群とレジスタンストレーニング群の間で脚血流量と脚血管コンダクタンスの有意差は見られませんでしたが、中年者ではレジスタンストレーニング群の方が対照群よりも有意に高値を示しました(それぞれ?35%と?36%)。

 脚血流量と脚血管コンダクタンスを脚筋量当たりで補正した場合でも、結果は絶対値の場合と基本的に違いがありませんでした。


<結論>
 我々は、レジスタンストレーニングを習慣的に行っている人では加齢に伴う安静時脚血流量の低下が抑制されていると結論しました。

 これらの結果は、レジスタンストレーニングが脚の筋量に及ぼす作用とは独立して、加齢する人の脚循環に好ましい影響を及ぼす可能性を示唆しています。


<展望>
 メタボリックシンドロームや糖尿病の発症機序として、腹部脂肪の蓄積に目が向きがちですが、主要なエネルギー消費器官である骨格筋の萎縮にも注目する必要があります。メタボリックシンドロームや糖尿病の予防に身体活動・運動量の増加が不可欠ですが、ウォーキング等の有酸素性運動のみでなく、高強度運動の有用性に関心を寄せることも重要であると考えられます。【宮地元彦】



出典:Miyachi M, Tanaka H, Kawano H, Okajima M,Tabata I. Lack of Age-Related Decreases in Basal Whole-Leg Blood Flow in Resistance-Trained Men. J Appl Physiol.in press, 2005

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第4巻2号(通巻13号)平成17年9月15日発行から転載


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作成:2008/6/23 16:54:08 自動登録   更新:2009/2/6 15:22:23 自動登録   閲覧数:8297
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