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閉経後女性の骨密度と身体組成に対する大豆イソフラボンと運動の併用効果

?1年間の無作為プラセボコントロール試験?


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○大豆イソフラボンの成長期マウスの骨形成に対する作用には性差がある
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 高齢化社会を迎え、我が国では骨粗鬆症患者の増加が懸念されています。

 骨量を決定する因子には、遺伝素因、ホルモン、栄養、運動、ライフスタイルなどがあげられます。特に女性ホルモンには骨の吸収を抑える作用があり、女性では閉経による女性ホルモンの分泌の低下が急激な骨量減少をもたらします。

 骨量が低下して骨の微細構造が劣化し、骨折しやすくなった状態が骨粗鬆症です。日本人女性の約半数は一生涯のうちにこの病気による骨折を経験するといわれています。

 骨折が発生してしまうと寝たきりにつながる可能性が高く、生活の質に大きなマイナスの影響を与えます。現在、元気な高齢者を増やすため、厚生労働省では様々な施策を講じています。そのうち、骨折の予防は最も重要な対策といえます。

 骨粗鬆症の予防は若い頃に最大骨量を最大限に高めておくこと、そして中高年のときに骨量の減少をできるだけ抑えることが最も有効な対策です。日常生活において実施できる骨粗鬆症の予防法には先ず運動があげられます。しかし、女性の場合、女性ホルモンの欠乏により骨の運動に対する反応性は低下するといわれています。

 そこで私たちは、閉経後女性に運動の実施とともに弱い女性ホルモン様作用を示す大豆イソフラボンを摂取してもらい、その骨代謝および脂質代謝に対する両者の併用効果を評価しました。

 即ち、閉経5年以内のボランテイアの閉経後女性136名に、対照群(プラゼボ摂取)、ウオーキング(WK)群(週3回、時速6?、1回45分;プラセボ摂取)、イソフラボン摂取群(豆腐2/3丁分のイソフラボン配糖体摂取)、及び併用群の4群に分かれていただき、1年間の試験を実施しました。

 その結果、対照群では1年間に大腿骨の骨密度が低下しましたが、WKにより、大腿骨の付け根の部分及び最も海綿骨の多いワーズ三角部の骨密度の低下が有意に抑制されました。イソフラボン群ではワーズ三角部の骨密度の低下が軽度に抑制され、併用群では大腿骨の付け根の部分の骨密度低下が抑されるとともにワーズ三角部の骨密度の上昇が認められました(下図)。

 一方、体脂肪量については対照群では増加しましたが、WK群では全身、体幹部、四肢部においても有意に低下しました(全身:下図)。

 イソフラボン群では腹部の脂肪量の増加が抑制されました。また興味深いことに、血中の善玉コレステロール濃度は1年間のWKにより有意に上昇しました。このことから、毎日の大豆食品の摂取とWKの併用は、閉経後女性の骨密度及び脂質代謝に好影響を与える可能性が示唆されました。

 なお、全群において血中女性ホルモン濃度に変化は認められませんでした。

 大豆にはイソフラボンの他に血中コレステロールを下げる大豆たんぱく質も含まれており、閉経後女性の方は、週3回の早足ウオーキングの実施とともに食生活に大豆食品を適度にとり入れることにより、骨粗鬆症、肥満および高脂血症といった生活習慣病が予防できる可能性が示唆されます。

 もちろんカルシウムたっぷりの栄養バランスのとれた食生活を心かげることは言うまでもありません。【石見佳子】



出典:Wu J, Oka J, Tabata I, Higuchi M, Toda T, Fuku N, Ezaki J, Sugiyama F, Uchiyama S, Yamada K, Ishimi Y: Effects of isoflavone and exercise on BMD and fat mass in postmenopausal Japanese women: A 1-year randomized placebo-controlled trial. J Bone Miner Res 21: 780-788, 2006.


ニュースレター「健康・栄養ニュース」第5巻1号(通巻16号)平成18年6月15日発行から転載

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作成:2008/6/19 14:41:05 自動登録   更新:2009/2/6 10:55:59 自動登録   閲覧数:15881
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