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明日葉摂取によるラット血清・肝臓脂質プロフィールおよび体脂肪蓄積に及ぼす影響について



 明日葉(図1)は、房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島および紀伊半島東南の太平洋岸に自生する日本固有のセリ科Angelica 属の大型多年性植物です。原産地は八丈島と考えられています。

 漢江戸時代には、「アシタグサ」「ハチジョウソウ」などと呼ばれ痘瘡の治療に用いられていました。今日でも、民間療法として、利尿、強壮、催乳などの目的で用いられていますが、これらの効果は科学的な根拠に乏しく口承による効果と考えられます。

 明日葉は、ビタミン類、ミネラル分が豊富であると共に食物繊維を豊富に含んでおり栄養価の高い食品です。近年、明日葉に含まれる機能性成分として注目されているのは、茎、葉、根の分泌組織より滲出する黄色の組織液中(黄汁)に含まれる様々なカルコン類です。

 特に明日葉を含む「いわゆる健康食品」は、セルライト解消やダイエット効果などを標榜し、粉末、錠剤あるいはカプセルなどに加工された健康食品として広く市場に出回っています。

 明日葉カルコンは過形成を生じた結合組織の血管を拡張し、血液の循環を促すことで組織の循環障害を改善し、結節組織の消失を促すと考えられていますが、これまでセルライト解消や脂質代謝および脂肪燃焼に関連する明確な科学的エビデンスは得られていないのが現状です。

 今回我々は、明日葉摂取と脂質プロフィールおよび体脂肪蓄積に及ぼす影響を検討するため、人の明日葉摂取目安量をラット体重に換算した量(1 倍量)から100倍量までの明日葉粉末を28日間与えた時の成長や血清・肝臓脂質濃度および体脂肪蓄積量を調べました。

 その結果、明日葉摂取は、体重増加量、体脂肪蓄積および脂質プロフィールに対して良好な生理学的有効性は観察されませんでしたが、有意な糞中胆汁酸排泄亢進を伴う糞排泄量の増加が認められました(図2)。

 これらから明日葉は食物繊維の供給源として効果的な植物であり、今回の実験で観察された作用を通して脂質代謝改善あるいは腸内環境改善を促す可能性が期待されます。【永田純一】



出典:Nagata J, Morino T, Saito M. Effects of dietary Angelica keiskei on serum and liver lipid profiles, and body fat accumulations in rats. J. Nutr. Sci. Vitaminol. 2007. 53, 133-137.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻2号(通巻21号)平成19年9月15日発行から転載
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作成:2008/6/13 16:50:37 自動登録   更新:2009/2/5 14:18:02 自動登録   閲覧数:10641
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