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食事摂取量と血中レプチン濃度との関連

?18-22歳の女子学生424人の横断研究?

 血中レプチン濃度は肥満度(BMI: 体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値)と非常に強く関連します。しかし、この強い関連にもかかわらず、血中レプチン濃度には、たとえ同じようなBMIや体脂肪の集団であっても、かなりの個人間変動があります。

 よって、肥満度や体脂肪以外にも血中レプチン濃度に影響を与える要因があると考えられます。レプチン濃度はのちの体重増加や循環器疾患の発症に関連していると考えられるので、レプチン濃度に関連する修正可能な生活要因(たとえば、食習慣)を検討するのは、予防医学の観点から見ると非常に重要です。

 しかし、食事要因と血中レプチン濃度の関連はあまりわかっておらず、とりわけ、非欧米諸国の人々や、若年成人を対象とした研究が少ないのが現状です。

 そこで、若年日本人女性を対象に、栄養素および食事摂取量と血清レプチン濃度との関連を調べてみました。

 調査に協力してもらったのは、18?22歳の女子大学生424人です。過去1か月間に食べたものを詳しく尋ねる食習慣質問票(DHQ)を使って、栄養素および食品の摂取量を計算しました。また、早朝空腹時に採血を行い血清レプチン濃度を測定しました。

 栄養素のなかで、血清レプチン濃度と関係があったのは、食物繊維でした。図1に示すように、食物繊維摂取量が増えるほど、血清レプチン濃度が低くなる、という結果が得られました。

 また、食品レベルでみてみると、血清レプチン濃度と関係があったのは、野菜類および豆類でした。図2に示すように、野菜摂取量が増えるほど、血清レプチン濃度が低くなる、という結果が得られました。

 同様の関連が、豆類とレプチンにおいてもみられました。これらの結果は、数少ない先行研究の結果とおおむね一致するものでした。

 科学的研究において最も重要なのは、結果ではなく、研究方法の質です。この研究で使用した食習慣に関する質問票は、より正確と考えられる食事記録やその他の食事摂取量の生体指標と比較した基礎研究において、その有用性が科学的に証明されているものです。

 また、血中レプチンと関係しそうな、食習慣以外の生活習慣(身体活動、喫煙、アルコール摂取など)やそのほかの要因(居住地域、居住地域の規模、肥満度)も食習慣や血中レプチンと同時に尋ねておいて、このような要因が血中レプチンに与える影響を統計学的に取り除いた上で、食事と血中レプチンの関係を調べています。このように、今回の研究の質はかなり高いと考えてよいでしょう。

 ただし、どんな研究でも、それ1つでは科学的な根拠としてはじゅうぶんではありません。日本人を対象としたていねいな研究がもっとたくさん行われなければならないのは言うまでもないでしょう。【村上健太郎、佐々木 敏】

出典: Murakami K, Sasaki S, Takahashi Y, Uenishi K, Yamasaki M, Hayabuchi H, Goda T, Oka J, Baba K, Ohki K, Watanabe R, Sugiyama Y. Nutrient and food intake in relation to serum leptin concentration among young Japanese women. Nutrition 2007;23:461-8.





ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻2号(通巻21号)平成19年9月15日発行から転載

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作成:2008/6/13 14:49:14 自動登録   更新:2009/2/5 13:56:36 自動登録   閲覧数:16985
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