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幼児における3次元加速度計を用いた身体活動強度の推定法

〈身体活動評価の問題点とそれに対する取り組み〉 

 身体活動とは、骨格筋の収縮によって安静時よりも多くのエネルギー消費を伴う身体の状態です。

 身体活動量の代表的な指標は歩数ですが、例えば掃除などの家事のような場合、強度の割に十分な歩行を伴わないことがあります。

 子どもにおけるボール遊びやブロック・砂遊びなども同様です。

 そのため、既存の歩数計や加速度計を用いると、歩行以外の活動は十分に評価できないことがわかってきました(田中千晶ら, 体力科学, 2007)。

 そこで、桜美林大学と国立環境研究所および当研究所が協力して、幼児の身体活動量の評価法を確立するとともに、日常生活の身体活動量調査を実施しています。


〈目的と方法〉 
 本研究では、幼児の身体活動量を正確に評価できるよう、3次元加速度計を用いた評価法を検討しました。27名の幼児を対象に、腰部に3次元加速度計(ジー・エム・エス社製、アクティブトレーサー)を装着して、9種類の活動を行ってもらいました。

 これらは、歩行や走行の他、ビデオ視聴・ブロック遊び・ボール投げ(写真参照)など、安静状態から高強度に及ぶ、幼児の日常にみられる典型的な活動を抽出したものです。また、その際、マスクを使って呼気をダグラスバッグに収集し、エネルギー消費量を算出しました。

 活動の強度は、基礎代謝量の倍数として表しました。


〈結果と考察〉 
 3方向の合成加速度や水平方向の合成加速度には若干劣るものの、上下方向の1次元加速度だけでも、身体活動強度と比較的強い相関を示しました。

 問題は、いずれの加速度の場合でも、ボール投げと階段昇降は、歩行と比較して、加速度の割に身体活動強度が大きいことでした。そのため、その点を考慮せずに加速度から推定すると、これらの活動の強度をおよそ20?40%過小評価してしまいます。

 しかし、上下方向と水平方向の加速度の比の大小によって、ボール投げと歩行を判別し、補正できることがわかりました。

 既に、この方法を用いて、幼児の日常生活における身体活動量調査を進めていますが、歩行よりボール投げタイプの活動の方が多くなっています。

 このように、幼児において、歩行以外の身体活動を評価することも重要なのです。


〈まとめ〉 
 本研究とは別に、成人を対象に、掃除・片づけや歩行を含む検討をエネルギー代謝測定室(ヒューマンカロリメーター)で行い、上記と同様の結果が得られました。

 こちらも、北米肥満学会の学会誌である“Obesity”に掲載されました(Midorikawa et al. 2007)。

 このように、加速度計を使って身体活動強度を正確に評価するには、「1次元か3次元か」より「歩行とそれ以外の活動を区別できるか」がポイントです。その後、オムロンヘルスケア(株)と共同で、更に優れた活動内容の判別方法を開発し、商品化を進めているところです。【田中茂穂】




出典:Tanaka C, Tanaka S, Kawahara J, Midorikawa T: Triaxial accelerometry for assessment of physical activity in young children. Obesity (Silver Spring) 15 ⑸ :1233-1241, 2007.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻3号(通巻22号)平成19年12月15日発行から転載


■関連リンク(こちらもご参考にどうぞ)■
○身体活動レベルについて

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作成:2008/6/12 14:27:35 自動登録   更新:2009/2/5 13:40:24 自動登録   閲覧数:12172
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