トランスファーRNA(転移RNA、tRNA)の新たな評価方法の開発。難病や老化の病態解明研究での活用に期待。

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 生命現象は、ゲノムDNA情報から産生される多種多様なタンパク質の働きによって維持されています。タンパク質は、ゲノム情報のコピーであるメッセンジャーRNA(mRNA)を鋳型として、トランスファーRNA(転移RNA、tRNA)により運搬されたアミノ酸により、産生(翻訳)されます。tRNAはアミノアシル化という反応によりアミノ酸が付加(チャージ)されます。
 これまで翻訳因子として重要なtRNAは、安定した翻訳環境を維持するために、チャージを一定レベルで維持していると考えられてきました。しかし近年、栄養ストレスや成長条件により、tRNAのチャージが様々な動態を示し、翻訳を始めとした生命現象に影響を与えるダイナミックな分子であることが明らかとなってきました。tRNAのチャージ率は生物学的に重要なパラメーターであり、また、難病を始めとした様々な疾患とも深い関連がある一方で、評価が困難であることから研究は進んでいませんでした。
 KAGAMIプロジェクトの塚本悠介特任研究員、木村友則プロジェクトリーダーらは、tRNAのチャージ率を簡便に測定する方法を開発しました。本手法により、tRNAのチャージ率の視点から老化や難病の病態が解明されることを期待しています。 

https://rnajournal.cshlp.org/content/early/2022/10/25/rna.079323.122.abstract