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食事:魚がカラダによい理由

作・仲谷照代:2002/11/29


 魚は身体によいといわれています。その秘密は…

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 魚は体によいといわれている。魚の油には血液中の中性脂肪の値を下げる効果があり、魚油に含まれるEPAやDHAなど、n-3系と呼ばれる脂肪酸が心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や脳卒中などの予防に役立っていることが知られている。
 さて、魚を食べると体の中ではどのようなことが起こっているのだろうか?コレステロールを含む脂肪(脂質)は主に肝臓で作られている。脂肪は酵素の働きで作られるが、その酵素の量は増えたり、減ったりする。酵素は遺伝子から作られるが、遺伝子は転写因子というものでその働きが調節されるという複雑な仕組みになっている。つまり、この転写因子が働くと、遺伝子の働きが活発になり、さらには酵素の量が増え、体の中の脂肪の量が増えることになる。
 ところが、魚油を摂取すると、この転写因子の量が減って、その結果、脂肪の出来方が抑えられるのである。魚油に含まれる成分が脂肪合成にとって大切な転写因子に働きかけ、体の中の脂肪の出来方を変化させたのである。また、魚油は脂肪合成を抑えるだけでなく、逆に脂肪を壊すのに必要ないくつかの酵素の量を増やすような別の転写因子に働きかけ、結果として脂肪分解を促進する働きもある。このように食べるものが変わる、栄養状態が変わると体の中の代謝が変化する。これは、栄養状態を反映して遺伝子の働き方が非常にうまく調節されるているともいえる。
 肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の原因にはいろいろのものがあり、その中で生まれつきの「遺伝的素因」のように本人の努力では変えられないものである。しかし、都合の悪い遺伝的素因を持ち合わせていても日頃の食生活を改善することによって生活習慣病の予防をすることは可能である。それは、食べ物の中の成分で遺伝子の働き方を変化させることが出来るからである。これからは、一人一人の遺伝的素因はもちろん、食事(栄養)による遺伝子の働き方を考えた生活習慣病の予防が重要になってくるのではないだろうか。



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