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食事:チョコレートとにきびの関係は?

作・瀧本秀美:2002/11/11


 チョコレートを食べすぎるとにきびが増えるという話を聞いたことがありますか? 実はこれ事実かどうかはかなりあやしいのです。

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 チョコレートを食べ過ぎると、にきびが増える。もはやこうした認識は常識と化しているようであるが、果たして科学的根拠があるのだろうか。
 だいぶ前の報告であるが、Fultonらは、30名の思春期男女と35名の若い成人男性を被験者に用いて、臨床試験を実施している。被験者らは、市販のミルクチョコレートの10倍以上ものチョコレートを含むチョコバーと、これとそっくりの全くチョコレートを含まないバーを無作為に与えられた。全くチョコレートを含まないバーには、カカオバターのかわりに植物性脂肪が添加された。被験者は、いずれかのバーを毎日1本づつ4週間にわたって摂取したのち3週間休みを取り、次の4週間で前回と違う種類を摂取した。皮膚科医が、摂取前後における顔面のニキビの状態を判定した。その結果、思春期男女と成人男性では反応に差はなく、さらにチョコバーと偽チョコバーとで、顔面のニキビの状態に有意差は認められなかった。

 さらに、成人男性のうち5名に、一ヶ月間毎日2個上記のチョコバーを摂取させ、額の皮脂の分泌量を測定し、分析を行った。3名では、皮脂の分泌量が増加したが、残る2名はむしろ低下していた。皮脂中の脂肪酸の組成にも特に変化は認められなかった。

 食事中の脂肪が皮脂腺から分泌される脂肪酸の組成を変化させる、という研究結果はもっぱら動物実験から得られたもののようである。人間と異なり、ラットやウサギといった毛の生えた動物では、餌に含まれる脂肪分が皮膚を汚染している可能性が考えられる。しかし、ラットを用いた実験でも(1)、食事中の脂肪酸がそのまま皮脂中に検出されることはほとんどないようである。ヒトを対象とした実験でも、体重1kgあたり28gものチョコレートを食べても、女子では皮脂の脂肪酸組成は変化しなかった(MacDonald I, Effects of a skimmed milk and chocolate diet on serum and skin lipids. J Sci Food Agric 19:270-272 1968)。

 京都府保険医協会・京都府歯科保険医協会・滋賀県保険医協会が共同で運営する「健康テレホンサービス」の1994年放送内容にも、食事とニキビは関係ないことが指摘されている。
https://web.kyoto-inet.or.jp/org/khoken-i/kentele/pages/1994/04/9404565.htm
一方、
https://www.eisai.co.jp/otc/has/has07.html
https://www.nov.co.jp/skincare/skincare-acne.htm
には、高脂肪食はいけないという記載が見られる。
(国際栄養協力主任研究員)



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