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食事:子供の発育と栄養のバランス

作・東條仁美:2003/03/17


生まれた直後の新生児から、乳児期、幼児期を経て学童期を終わるまでの時期を通常小児と呼びます。

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 生まれた直後の新生児から、乳児期、幼児期を経て学童期を終わるまでの時期を通常小児と呼びますが、出生直後の短い新生児の初期を別とすれば旺盛な成長を示します。また、生理、運動、精神の機能が発達の過程にあるために、成人と異なる特徴をもっています。その栄養法にも成人にみられない特質が認められます。胎児期、乳児期の低栄養はその後の成長・発育に重大な影響を及ぼします。小児期の身体の各部分や内臓は一定の速さで大きくなるのではなく、それぞれ異なった速度で成長・発育しています。身長は新生児で約50p、1歳で75p(約1.5倍)、4歳で100p(約2倍)、体重は新生児で約3s、3ヶ月で6s(約2倍)、1年で9s(約3倍)、4歳で15s(5倍)と著しい増加速度を示します。脳の発育を重量からみると3〜4歳ですでに大人の約80%にも達します。従って、乳幼児の低栄養、栄養障害が脳の発育に多大な影響を及ぼすことは、身体の成長・発育の遅延、免疫機能の低下をきたすことと、ともによく知られています。
 小児の栄養を考える時、成人の場合に必要とされる体成分の維持や筋運動のほかに、成長のための栄養素が加わってきます。体成分の維持のための栄養素にしても、小児の体を構成する科学的要素が、成長の段階によって一様でないので、成人栄養の知識をそのまま当てはめることはできません。小児の必要とする単位体重当たりの各栄養素の要求量は成人に比べて大きいのです。特に、水分量やエネルギーはより重要です。一方、小児の摂取能力や消化・吸収機能は発達中であり、成人に比べて未熟です。食物の過剰や不適切な与え方は消化不良を起こし、不足すると成長が抑制されます。そのため食品の選び方、調理の仕方、与え方は成人と比べより大切です。体内で合成されるたんぱく質、脂質、糖質はその種類、量ともに急速に多くなります。ビタミン、ミネラル類も代謝を円滑にするために十分な量が必要です。特定の栄養素だけが大量に摂取されたり、逆に極端に不足すると、代謝が円滑に進行しなくなるので、摂取栄養素のバランスが大事です。このためには食物の量を多くするより、種類を多くすることが大切です。


(国立健康・栄養研究所編『第二版 健康・栄養-知っておきたい基礎知識-』第一出版、東京、2001収載。出版社の許可を得て転載)



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