栄養研:ビタミンA(健康食品)


	健康食品：ビタミンA

作・梅垣　敬三：2003/06/24

【質問】　最近ドラッグストアなどで気楽に買えるビタミンAについて質問があるのですが…

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【解答】> １　数種類のサプリメントから一日合計　５０００ＩＵ程度のビタミンＡを摂取しているのですが体は、大丈夫でしょうか？（厚生労働省で定められている、ビタミンＡの許容摂取量は、１日あたり５０００ＩＵだと聞いています。日常の食事からもビタミンＡは取るので余裕で、５０００ＩＵをオーバーすると思うのですがいかがでしょうか？）

その通りです。

ビタミン剤から5000IU摂取＋食事を摂取しているのなら、5000IUは超えていることは明らかです。ただ、そのビタミン剤の内容物がβ-カロテンの場合は、若干解釈が異なります。β-カロテンは体の中で、必要に応じてビタミンAに変わりますので、ビタミンAを多量に摂取したときに起こる毒性は、β-カロチンでは見られないといわれています。ビタミン剤の数回の摂取なら問題ありませんが、連続してビタミンAを必要以上に摂取すると過剰症が発現します。特に妊娠可能な女性がビタミンAを大量に摂取すると胎児に奇形がでることが報告されています。栄養所要量でビタミンAの許容上限摂取量は、かなり安全性に配慮して定められていますので、少しでもこの値を超えれば問題、ぎりぎりで問題ないということではありません。一般的な目安と理解するべきであり、個々の人によって感受性は異なりますので、あまり神経質になることもないと思います。しかし、何も危険性のあるような量を好んで摂取する必要はないと思います。

> ２　上記数量のサプリメントを取り初めて３ヶ月程になります。今の所、体に異常はないのですが体に異常が出るとしたら何ヶ月位からでしょうか？

体に異常が出る期間は個人差があるので、いつかは判断できません。何ヵ月～何年間 3,000μg/dayかそれ以上のビタミンAを摂取した時に起こることが報告されている症状は、中枢神経システムへの影響・肝臓の異常・骨や皮膚の変化です。

> ３　友人は、「マルチビタミン」のようにビタミンＡだけでなく、他の栄養素も取っているので、過剰にビタミンＡを取っても大丈夫だと言うのですが、本当でしょうか？

色々なビタミンを摂取しているからといって、ビタミンAを過剰に摂取しても大丈夫ということはありません。ビタミンAを過剰に摂取していることにはかわりありません。特にビタミンAでは、過剰症の問題がありますので、摂取方法に注意すべきです。ビタミンAを沢山摂取したからといって、ビタミンAがもつ働きがより一層期待できるわけではありません。必要以上に摂取すると有害作用がでるだけです。

> ４　また友人は、天然のモノから、抽出したビタミンＡなら摂取量が多くても大丈夫だと言っているのですが本当でしょうか？（サプリメントの栄養表示には「ビタミンＡ」としか表記されていません。上記ビタミンＡは、ベータカロチンではありません。）

天然や自然という言葉で、安全性をアピールするメーカーがありますが、このような言い方は化学を無視しており、信頼できません。有害な毒素には天然や自然のものがかなり多くあります。ビタミンAについても一つの化学物質であり、天然や自然だからといって区別することはできません。むしろ天然や自然のものから抽出したものは、環境汚染物質が混入する可能性が高く、またその品質や純度を一定に保つことが難しいのが実情です。

> ５　また、妊娠中・妊娠を希望する女性は、ビタミンＡの摂取に気を付けないといけないと聞いています。妊娠中なら理解できるのですが、「妊娠を希望する女性」まで、ビタミンＡの摂取量に気をつけないといけないのはなぜでしょうか？教えてください。

１．で記載しましたように妊娠初期の人または妊娠する可能性のある人がビタミンA を過剰に摂取すると胎児に奇形を起こす可能性があります。ビタミンAは急性・慢性的な摂取による過剰症の問題がありますので、妊娠を希望するしないに関係なく、摂取量とその方法には気をつけたほうがいいと思います。

研究所のホームページのビタミンA情報のところを参考にして下さい（https://hfnet.nih.go.jp/　の話題の食品成分・健康食品に関する科学的情報 (info: 030428)　ビタミンA）

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