HOME > お知らせ > ニュース・Q&Aコーナー
独立行政法人 国立健康・栄養研究所
ヘルプ
HOME
調査・研究お知らせ国立健康・栄養研究所について
お知らせ
ニュース・Q&Aコーナー
食事    スポーツ栄養    栄養調査    研究紹介    病気    健康食品
研究紹介:あなたはごはん派? それともパン派?

作・佐々木 敏:2003/07/02


 最近、お米(ごはん)の栄養価が再評価されてい るようです。しかし、われわれはごはんだけ、パン だけを食べているわけではありません。ごはんのと きにはごはんに合うおかずを、パンのときにはパン に合う食べ物を無意識のうちに選んでいます。

関連記事
佐々木 敏のほかの記事

研究紹介に関するほかの記事

 最近、お米(ごはん)の栄養価が再評価されてい るようです。しかし、われわれはごはんだけ、パン だけを食べているわけではありません。ごはんのと きにはごはんに合うおかずを、パンのときにはパン に合う食べ物を無意識のうちに選んでいます。人間 の栄養とはその全体のことをいいます。
 そこで、ひとつの食品の栄養価ではなく、毎日食 べている食品すべてから摂取している栄養素をごは ん派とパン派に分けて調べてみることにしました。
 お願いしたのは、1771 人の18 歳から20 歳まで の女子大学生です。過去1か月間に食べたものを詳 しく尋ね、朝ごはんの主食に注目して、ごはん派と パン派に分類しました。めん類を食べたひとがわず かにいましたが、とても少なかったため、「米飯の頻 度(回/ 週)−パンの頻度(回/ 週)」を計算し、完 全パン派(毎朝パンを食べていたひとたち)から完 全ごはん派(毎朝ごはんを食べていたひとたち)まで、 8グループに分けました。
 8つのグループの栄養素摂取量を比較したのが下 の図です。ごはんの頻度が増えるほど、n-3 系多価 不飽和脂肪酸、鉄、ナトリウム( 食塩)、蛋白質、カ ロテン( カロチンとも呼ばれます)、カリウム、食物 繊維、ビタミンCといった栄養素の摂取量が多いこ とがわかります。反対に、ごはん摂取頻度が多いほど、 脂質の摂取量が少なく、脂質の中でも飽和脂肪酸と 呼ばれる種類の脂質の摂取量が特に少ないことがわ かりました。
 ごはん派で摂取量が多かった栄養素は、ナトリウ ム(食塩)を除き、いわゆる生活習慣病の予防に働 く可能性が指摘されているものばかりです。一方、 飽和脂肪酸は高脂血症の原因のひとつとして、その 過剰摂取が懸念されている栄養素です。しかし、ご はん派が満点だったわけではありません。ごはん派 で多かったナトリウム(食塩)は大きな問題です。 なぜなら、日本人の食塩摂取量は他の先進諸国と比 べると際立って多く、食塩は、その制限(減塩)の 必要性が再三、強調されている栄養素だからです。 この結果から、ごはん派のひとは高塩分という問題 はあるものの、全体としては、生活習慣病の予防に 働く栄養素を、パン派のひとたちよりもたくさん食 べていることがわかりました。
 注意したいのは、この結果が示すところは、ごは んさえ食べていれば良いというわけでも、パンが悪 い食品であるといっているわけでもないということ です。ごはんを食べるときに何を食べるか、また、 パンを食べるときには何を添えれば良いかをよく考 えて毎日の食事を楽しんでいただきたいと思います。

出典: Sasaki S, Shimoda T, Katagiri A, et al. Eating frequency of rice vs. bread at breakfast and nutrient and food-group intake among Japanese female college students. J Community Nutr 2002; 4: 83-9.



最新の項 | 次の項 | トップページ | 前の項 | 最古の項

(c) All Copyrights reserved 2001 National Institute of Health and Nutrition

powered by hirotasque web portal system