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研究紹介:柑橘系フラボノイドの骨粗鬆症予防効果

作・石見 佳子:2004/01/09


 みかんの皮に含まれるヘスペリジンをご存知ですか?

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 今から4年前、サイエンスというアメリカの科 学雑誌に、コレステロールの合成を抑えるスタチ ン系の薬剤を白ねずみに与えると骨の量が増加す るという論文が掲載されました。この報告は大き な反響を呼び、世界中でスタチン製剤の服用と骨 量の関係を調査する症例対照研究が行われました。 その結果、閉経後女性や高齢者では、スタチン製 剤を服用している人は服用していない人に比べて 大腿骨頸部骨折の発症率が低いというデータが数 多く報告されました。日本でも中高年女性を対象 に介入試験が行われ、スタチン製剤による腰椎骨 密度の増加効果が観察されています。
 私達は以前より、骨粗鬆症の予防を目的とし た栄養学的研究を行っています。今回、食品成分 の中でコレステロール合成を抑える作用のある柑 橘系フラボノイドに着目し、骨代謝に対する影響 を検討しました。その結果、みかんの果皮に多く 含まれているヘスペリジンを閉経後骨粗鬆症のモ デル動物に摂取させると、血中および肝臓中のコ レステロールが低下するとともに、骨量の減少が 抑えられることが明らかになりました。ヘスペリ ジンは温州みかんの果皮に多く含まれていますが、 果皮の摂取によりヒトで同様の効果が得られるか は今後さらに検討する必要があります。みかんの 果皮は古来より陳皮(ちんぴ)という生薬として 漢方処方によく用いられており、健胃・整腸、鎮 咳効果があります。マーマレードを朝食に加えて みますか?

出典:Chiba H, Uehara M, Wu J, Wang X, Masuyama R, Suzuki K, Kanazawa K, Ishimi Y. Hesperidin, a citrus flavonoid, inhibits bone loss and decreases serum and hepatic lipids in ovariectomized mice. J Nutr. 133:1892-1897, 2003.



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