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肥満、体重の増加と高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の発症の関係について

 肥満や体重の増加は、様々な生活習慣病の危険因子とされています。この研究では肥満の人や体重が増加した人で、どのくらい、それぞれの疾病になる可能性が高くなるかを検討しました。
 
 国内各地に12 の工場と36 の支社をもつ現業系企業1 社の従業員を対象にしました。対象者は、全男性従業員(7,560 名)のうち、心疾患・癌・脳血管疾患の既往がなく、昼夜の交代勤務がなく、調査開始時に各測定データがそろっていた4,737名です。この対象者を最長で4 年間(途中での退職者は退職まで)追跡して、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の発症の有無を調べました。

 高血圧の発症についての検討では、調査開始時に高血圧でない4,001 名について検討しました。また、糖尿病については、調査開始時に糖尿病でない4,385 名を、高コレステロール血症では、調査開始時に高コレステロール血症でない2,995 名を対象としました。

 4 年間に新たに各疾病を発症した人は、高血圧で662 名(1,000 人年あたり46.7)、糖尿病で242 名(1,000 人年あたり14.7)、高コレステロール血症で251 名(1,000 人年あたり22.6)でした。

 調査開始時のBMI(体重を身長の2 乗で割った値)別に、4 年間の疾病の発症を比較すると、BMI が22kg/ m2以上ではBMI が18.5 kg/ m2未満に比べて、年齢、喫煙の状態、飲酒、家族歴、調査開始時の血圧で調整しても高血圧を発症するリスクは2 倍になりました。BMI が27 kg/ m2以上では、高血圧になるリスクは3 倍近くになりました。糖尿病、高コレステロール血症については、BMI が29 kg/ m2をこえると、それぞれの病気になるリスクが4 ? 5 倍になりました。

 次に、4 年間に体重が2kg 以上減少した人、2kg 以内の変化だった人、2kg 以上増加した人について、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の発症を比較しました。体重の変化が2kg 以内の人と比べると、体重が2kg 以上増加した人では、高血圧になるリスクが約1.2 倍、高コレステロール血症になるリスクが約2 倍高くなりました。この値は、年齢、調査開始時のBMI、喫煙、飲酒、家族歴、調査開始時の検査値(血圧、血糖、総コレステロールのいずれか)で調整しても変わりませんでした。

 この結果をこれまでの研究と比べると、欧米人に比べ日本人では、低いBMI でも各疾病を発症するリスクが高まっていました。また、欧米人に比べると日本人では高度の肥満者の率は低いのですが、体重増加によりそれぞれの疾病になるリスクが高くなる割合は、欧米人のデータとほぼ同じ、あるいは日本人の方が高くなりました。欧米人に比べて、高度の肥満が少ないとはいえ、BMI が高くなること、体重が2kg 以上増加することで各疾病を発症するリスクが高くなるので、疾病の予防においては、体重の管理が大切といえるでしょう。【高田和子】




出典:Obesity, weight change and risks for
hypertension, diabetes and hypercholesterolemia
in Japanese men. Ishikawa-Takata K, Ohta T,
Moritaki K, Gotou T, Inoue S: European Journal
of Clinical Nutrition: 56: 601-607. 2002

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻1号(通巻4号)平成15年6月15日発行から転載


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作成:2008/7/17 16:13:46 自動登録   更新:2009/2/9 14:26:48 自動登録   閲覧数:11561
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