2022.7.7
, EurekAlert より: 
ミクロネシアに定住した初期のグループの多くが妻方居住者であったようだ、という米国ハーバード大学などからの研究報告。
ミクロネシア(西太平洋に点在する約二千の島からなる)からの古代と現代のDNAの分析は、この地域の、近隣の南西太平洋とは異なる、独特の移動と人口パターンを明らかにした。
ミクロネシアは、東南アジアの島々からの5つの連続した移動ストリームによって形成されたのだという。さらに、これらの初期の居住地は妻方居住婚(招婿婚)であり、男性が配偶者を見つけるために移住して女性の家族やコミュニティに定住する、という女性の家庭中心の社会構造を特徴としていた。
考古学的証拠は、人類が約3,500年前にミクロネシアに到着して広大な地域に定住し始めたことを示唆している。だが、ゲノムデータがまばらであるため、これらの人々がどこから移住したかはよく理解されていない。にもかかわらず、ミクロネシアの遺伝的歴史は、南西太平洋およびポリネシアのそれと類似しているとしばしば想定されてきた。
今回研究チームは、ミクロネシアの5つの異なる2、800-500年前の先史時代遺跡からの164の古代ヒトゲノムと、同じ地域の現在の個人からの112のゲノムを解析した。
分析の結果、研究チームはミクロネシアへの5回の別々の移住があり、そのうち3回は東アジアから、1回はポリネシアから、もう1回はパプアニューギニアからと思われることを発見したという。
この発見に基づけば、マリアナ諸島の人々は、おそらくパプア系先祖のいないリモートオセアニアの唯一の集団である。
研究チームは、ミクロネシアのゲノムの祖先は太平洋南西部のそれとは異なるが、女性が受け継いだミトコンドリアDNAは島のコミュニティ間で高度に区別されているが、多くの太平洋諸島全体で類似していると述べている。
これらの調査結果は、この地域に定住した初期のグループの多くが妻方居住者であったことを示している。
(ミクロネシアがなかったので写真はハワイです)
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
|