リンクdeダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース お問合わせ プライバシーポリシー リンク・著作権等について
ニュース詳細
[病気]  ケトン食療法が膵臓がん治療を強化する可能性
2022.3.3 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

ケトン食療法(ケトジェニックダイエット)が膵臓がんの化学療法の有効性を高める可能性があるようだ、という米国ルートヴィヒがん研究所からの前臨床研究報告。

『Med』誌に掲載された本研究は、ケトン食療法(または高脂肪・中程度たんぱく質・極低炭水化物食療法)が化学療法との相乗作用で、マウスモデルにおける膵管腺がん(PDAC)の生存期間を化学療法単独と比較して3倍に延ばすことを示している。

「過去20年間、膵臓がんに対する真の進歩がありました」と主任研究者のジョシュア・ラビノウィッツ教授は述べている。「問題は、現在多くの患者が腫瘍の安定化または縮小を確認している一方で、化学療法の利点が非常に短命であるということです。多くの場合、患者の寿命は6か月から1年に延長されますが、少なくとも人々が望む3年以上の生存期間の延長が見られることはめったにありません。」

本研究でラビノウィッツ教授らは、PDACを発症するように設計されたマウス、または患者に見られるものに似た腫瘍を移植したマウスを使用して、複数の実験を実施した。マウスには、通常の炭水化物が豊富な食またはケトン食のいずれかを与え、化学療法の標準的な組み合わせであるnab-パクリタキセル(アブラキサン)、ゲムシタビン、およびシスプラチンで治療した。

研究チームは、ケトン食療法だけでは腫瘍の成長に影響を与えないことを発見した。けれども、化学療法と組み合わせると、生存期間の中央値は3倍になったという。治療効果は免疫系に依存していなかったが、免疫系が無傷のマウスだけが長期生存した。

チームは、腫瘍代謝に対する併用療法の効果を調査するための研究も実施した。「グルコース(ブドウ糖)はがんの主要な燃料であり、インスリンはがんを促進するホルモンであり、ケトン食療法は両方をいっぺんに減少させることを私たちは知っています」とラビノウィッツ教授は言う。「本研究で、ケトン食は健康な組織よりも腫瘍のグルコースのレベルを大幅に低下させ、インスリンのレベルを劇的に抑制することがわかりました。」

ケトン食療法は、身体から糖分を奪うことにより、身体に脂肪を分解させ、細胞が燃焼してエネルギーを生成できるケトン体と呼ばれる分子を生成する。これらの中で最も重要なのは3-ヒドロキシ酪酸である。

「私たちが気づいたことの1つは、3-ヒドロキシ酪酸が電子を細胞に放出する過給燃料のように機能し、腫瘍細胞が他の理由でこの燃料をうまく取り込むように配線されていることです」とラビノウィッツ教授は述べている。「幸いなことに、この過給燃料の過剰供給は、がんに有毒なようです。」

この過剰な電子は、化学療法によっても生成される非常に不安定な分子である活性酸素種(ROS)の生成を引き起こす。ROSは、細胞のDNA、膜、その他の成分に損傷を与えることにより、がん細胞を殺傷する。これが、化学療法の抗腫瘍効果を高めるのではないか、と研究チームは仮説を立てている。

「私が最もエキサイティングだと思うのは、有効性がわかっている化学療法を使えることです。これにより、患者は現在クリニックで最高のチャンスを得ることができ、少なくともマウスでは、ケトン食療法との組み合わせでより良い結果につながります」とラビノウィッツ教授は言う。「私たちは、患者さんにも同じような効果が見られることを願っています。」

出典は『Med』。 (論文要旨)      
 「病気」 カテゴリ 最近の注目トピック
  超加工食品は男性の大腸がんリスクに関連する  
  人工甘味料と心臓病との関連の可能性を示唆  
  ビタミンDサプリとCOVID-19リスク低下に関連なし  
  低BMIほど朝食欠食とたんぱく尿陽性は強く関係する  
  泌尿器科医によるノコギリヤシについての新声明  
  腸内の免疫細胞、スイッチONには「糖」が必要  
 
翻訳機能ON/OFF選択
ON OFF
自分で探してみよう
最新ニュース(EurekAlert!)
最新文献(PubMed)
最新健康食品文献リスト
関連ページ
国立健康・栄養研究所
健康・栄養フォーラム
健康・体力づくりと
  運動に関するデータベース
栄養調査情報のひろば
「健康食品」の
  安全性・有効性情報